1.臨床応用前夜となったiPS 細胞による 心筋再生医療の今後の展開

「はじめに」循環器領域における内科的治療に抵抗性の末期心不全に対する唯一の根本的治療は心臓移植である. ただし我が国においては, 2010年の改正臓器移植法施行後も心臓移植件数は伸び悩んでおり, 移植登録からの待機期間も長く, 十分な治療と成り得ていない現状がある. この状況を打破するため, 心臓移植に対する代替治療として注目されているのがiPS細胞を用いた再生医療である. 未だ心筋大量分化培養の効率性や未分化細胞混入による腫瘍化の危険性など, 解決されるべき問題点は残っているが, 日々その臨床応用の実現化へ向けて再生医療研究は加速度的に進歩しており, 近い将来に幹細胞由来心筋細胞移植が画期的...

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Published inCIRCULATION CONTROL Vol. 39; no. 3; pp. 152 - 154
Main Authors 福田, 恵一, 藤田, 淳, 岸野, 喜一, 遠山, 周吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2018
Japan Society of Circulation Control in Medicine
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.39.152

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Summary:「はじめに」循環器領域における内科的治療に抵抗性の末期心不全に対する唯一の根本的治療は心臓移植である. ただし我が国においては, 2010年の改正臓器移植法施行後も心臓移植件数は伸び悩んでおり, 移植登録からの待機期間も長く, 十分な治療と成り得ていない現状がある. この状況を打破するため, 心臓移植に対する代替治療として注目されているのがiPS細胞を用いた再生医療である. 未だ心筋大量分化培養の効率性や未分化細胞混入による腫瘍化の危険性など, 解決されるべき問題点は残っているが, 日々その臨床応用の実現化へ向けて再生医療研究は加速度的に進歩しており, 近い将来に幹細胞由来心筋細胞移植が画期的な新規心不全治療となる可能性を秘めている. また, 患者からのiPS細胞由来の心筋細胞の薬剤への応答性を評価することで, オーダーメイド医療の実現が可能となるばかりでなく, 創薬スクリーニングや未知の遺伝性疾患の病態解明に役立つ可能性についても期待されている.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.39.152