HDL亜分画に影響を及ぼす要因の検討

【目的】高比重リポ蛋白(HDL)にはHDL2 とHDL3 の亜分画が存在し、それぞれに含まれるコレステロールであるHDL2 コレステロール(HDL2-C)及びHDL3 コレステロール(HDL3-C)は、前者は肥満、喫煙で低下し、後者は飲酒で上昇することが知られているが、その他の要因についての検討は十分ではない。本研究では、抗加齢ドックにおいて測定した詳細なデータをもとにHDL2-C及びHDL3-Cに影響を及ぼす要因の検討を行った。【対象】2006年6月~2016年3月に当センターにて抗加齢ドックアドバンスコースを受診したのべ536名(男性285名、女性251名、年齢27~89歳、平均年齢62....

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Published in総合健診 Vol. 48; no. 5; pp. 379 - 387
Main Authors 山田, 千積, 奥野, 智織, 椎名, 豊, 後田, 奈々, 石井, 直明, 尾形, 珠恵, 西﨑, 泰弘, 岸本, 憲明, 行松, 伸成, 菊地, 恵観子, 小田, 夏奈江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.09.2021
日本総合健診医学会
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.2018-24

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Summary:【目的】高比重リポ蛋白(HDL)にはHDL2 とHDL3 の亜分画が存在し、それぞれに含まれるコレステロールであるHDL2 コレステロール(HDL2-C)及びHDL3 コレステロール(HDL3-C)は、前者は肥満、喫煙で低下し、後者は飲酒で上昇することが知られているが、その他の要因についての検討は十分ではない。本研究では、抗加齢ドックにおいて測定した詳細なデータをもとにHDL2-C及びHDL3-Cに影響を及ぼす要因の検討を行った。【対象】2006年6月~2016年3月に当センターにて抗加齢ドックアドバンスコースを受診したのべ536名(男性285名、女性251名、年齢27~89歳、平均年齢62.3歳)を対象とした。【方法】抗加齢ドックにおいて測定したアディポネクチン、ビタミン類、ホルモン類、その他一般検査項目及び問診について、HDL2-C、HDL3-Cと相関分析を行い、説明変数の候補因子を選定し、HDL2-C、HDL3-Cそれぞれについて重回帰分析(ステップワイズ法)にて解析を行った。HDL2-C、HDL3-Cともに性別が説明変数として選択されたので、男性ではフリーテストステロン、女性ではエストラジオールを説明変数の候補に加え、男女別にHDL2-C、HDL3 について重回帰分析を行った。【結果】HDL2-C、HDL3-Cにおいて、中性脂肪、性別で負の相関を認めた。HDL2-Cにおいてアディポネクチン、β-カロテンは正、BMIは負の相関を認めた。HDL3-CにおいてLDLコレステロール(LDL-C)、DHEA-S、ビタミンA、ビタミンEαは正、喫煙歴、年齢は負の相関を認めた。男女別HDL2-C解析では、β-カロテンが男性において正、ビタミンEαが女性において正の相関を示した。男女別HDL3-C解析では、男性においてDHEA-Sが正、喫煙歴、BMIが負の相関を示した。また女性において飲酒歴、ビタミンA、ビタミンEαが正、年齢、エストラジオールが負の相関を示した。【考察】HDL-Cは受診者の生活習慣を念頭にHDL亜分画や性差を考慮した指導が有用である可能性が示唆された。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.2018-24