連続動脈圧波形を用いた非侵襲かつ簡便な動脈圧反射機能の推定とその臨床応用
目的:心血管病は人類最大の死因であり、その克服にはリスクの正確な評価が不可欠である。圧反射機能は心血管病の重要なリスク規定因子であるが、その機能を非侵襲に推定する方法は存在しない。血圧への外乱は動脈圧反射(開ループゲイン、G)により1/(1+G)に圧縮され、圧縮された血圧変動として測定される。従って、動脈圧反射が有効に作用する周波数帯域と作用しない帯域での血圧変動のパワースペクトル密度(PSD)の比較から原理的にGの推定が可能である。本研究の目的は連続動脈圧波形のPSDからGの推定可能性(動物実験)と高齢者に認められるGの低下の検出が可能かどうか(臨床試験)を検討することである。方法(動物実験...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S114 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual56.S114 |
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Summary: | 目的:心血管病は人類最大の死因であり、その克服にはリスクの正確な評価が不可欠である。圧反射機能は心血管病の重要なリスク規定因子であるが、その機能を非侵襲に推定する方法は存在しない。血圧への外乱は動脈圧反射(開ループゲイン、G)により1/(1+G)に圧縮され、圧縮された血圧変動として測定される。従って、動脈圧反射が有効に作用する周波数帯域と作用しない帯域での血圧変動のパワースペクトル密度(PSD)の比較から原理的にGの推定が可能である。本研究の目的は連続動脈圧波形のPSDからGの推定可能性(動物実験)と高齢者に認められるGの低下の検出が可能かどうか(臨床試験)を検討することである。方法(動物実験)外科的に動脈圧反射機能を段階的に障害したラットを用い(N=21)、連続動脈圧波形からGを推定し、直接法による真値と比較した。(臨床試験)非侵襲連続血圧波形測定装置による30分の血圧記録のPSDを用い、Gを推定し(若年者13名、高齢者12名)、年齢との関連を検証した。結果(動物実験)PSDから推定したGは真値を精度よく推定した(R2=0.87)。(臨床試験)高齢者(85.8±3.8才)は若年者 (28.7±6.2才)と比較し、Gは著しく低下していた(2.54±1.06 vs. 0.66±0.65, p<0.001)。結論:連続動脈圧波形の周波数解析により、精度よく動脈圧反射機能は推定できた。非侵襲連続動脈圧測定デバイスにより循環器疾患のリスクの層別化が実現できる可能性がある。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual56.S114 |