両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器の左室リードが経時的に移動したRatchet症候群の症例

ペースメーカや植込み型除細動器などの心臓植込み型のデバイスではリードの位置異常を呈することがあるが,その機序によりTwiddler症候群やReel症候群,Ratchet症候群として知られている.今回,開心術を予定していた患者において,既存の両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の左室リードが自然に抜けてデバイスのポケット内に引き込まれるRatchet症候群の症例を経験した.症例は83歳,男性.2007年に心房中隔欠損症(ASD)を指摘され,循環器内科に通院していた.その後,洞不全と房室ブロックに対してDDDペースメーカが植込まれたが,頻回の心室頻拍および左室機能の低下のため,C...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 10; pp. 1077 - 1081
Main Authors 岡田, 祥一, 平沼, 進, 南淵, 明宏, 槇野, 崇文, 前田, 武俊, 端慶覧, 貴子, 大城, 康一, 奥山, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.1077

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Summary:ペースメーカや植込み型除細動器などの心臓植込み型のデバイスではリードの位置異常を呈することがあるが,その機序によりTwiddler症候群やReel症候群,Ratchet症候群として知られている.今回,開心術を予定していた患者において,既存の両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の左室リードが自然に抜けてデバイスのポケット内に引き込まれるRatchet症候群の症例を経験した.症例は83歳,男性.2007年に心房中隔欠損症(ASD)を指摘され,循環器内科に通院していた.その後,洞不全と房室ブロックに対してDDDペースメーカが植込まれたが,頻回の心室頻拍および左室機能の低下のため,CRT-Dにアップグレードされた.一方で肺体血流比の上昇を認め,ASD根治目的で当科に紹介された.待機手術を予定したところ,CRT-D左室リードの先端が誘引なく冠状静脈洞から上大静脈,そしてポケット内へと抜けていった.リードの再留置が必要な状況だったが,間もなく開心術を予定していたため,患者の身体機能やリスクを考慮し,開心術中に心外膜アプローチ型の心筋電極を装着した.術後経過ならびにその後のCRT-D機能は良好である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.1077