シックハウス症候群についての全国規模の疫学調査研究 寒冷地札幌市と本州・九州の戸建住宅における環境要因の比較

『緒言』 オフィスビルの中で働く労働者の間に見られるsick building syndrome(SBS)と呼ばれる非特異的な症状が, 1980年代に欧米で大きな問題になった(1-4). SBS症状とは, 眼, 鼻, 喉の刺激症状, 頭痛, 倦怠感, 皮膚刺激症状, 集中困難などの非特異的な症状をビルの多くの人が訴えるが, ビルを離れるとその症状は消失もしくは改善するものである. しかし, 多種の要因が重なって原因になることがあって, 詳しく環境を調べても原因がはっきりしないことがある. 日本ではビルの環境基準を維持する義務を明記した『建築物における衛生的環境の確保に関する法律』(ビル管理法)...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 65; no. 3; pp. 447 - 458
Main Authors 瀧川, 智子, 柴田, 英治, 西條, 泰明, 田中, 正敏, 金澤, 文子, 力, 寿雄, 中山, 邦夫, 森本, 兼曩, 岸, 玲子, 吉村, 健清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2010
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.65.447

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Summary:『緒言』 オフィスビルの中で働く労働者の間に見られるsick building syndrome(SBS)と呼ばれる非特異的な症状が, 1980年代に欧米で大きな問題になった(1-4). SBS症状とは, 眼, 鼻, 喉の刺激症状, 頭痛, 倦怠感, 皮膚刺激症状, 集中困難などの非特異的な症状をビルの多くの人が訴えるが, ビルを離れるとその症状は消失もしくは改善するものである. しかし, 多種の要因が重なって原因になることがあって, 詳しく環境を調べても原因がはっきりしないことがある. 日本ではビルの環境基準を維持する義務を明記した『建築物における衛生的環境の確保に関する法律』(ビル管理法)が1970年より制定され, オフィスビルでのSBS症状について大きな問題にならなかったが, オフィスビルでの労働時間と受動喫煙の影響(5), ビル環境の季節変化とSBS有訴率の変化(6), 改築後の病院での揮発性有機化合物(volatile organic compound)濃度, 喫煙, 労働時間とSBS症状との関連(7)についての報告がある.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.65.447