Paget-Schroetter症候群と類似した病態を呈したがん関連上肢深部静脈血栓症の1例
症例は39歳の女性で職業は調理師の方.不正性器出血を主訴に婦人科を受診し子宮内膜癌の診断となった.同時に右上肢の腫脹を認め,鎖骨下リンパ節転移によるリンパ浮腫を疑われ当科紹介となった.造影CTでは静脈相で右鎖骨下静脈の鎖骨と第一肋骨に挟まれた部位に血栓を認めた.以上より子宮内膜癌が誘因となったがん関連静脈血栓症であると同時に,Paget-Schroetter症候群と類似した慢性刺激も発症機序となった可能性がある上肢深部静脈血栓症と診断した.抗凝固療法による治療を第一選択と考えたが,不正性器出血が継続するため,抗凝固・血栓療法は行わず,子宮全摘を先行した.右上肢の腫脹は,抗凝固療法は行っていなか...
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Published in | 静脈学 Vol. 33; no. 3; pp. 283 - 287 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本静脈学会
11.08.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0915-7395 2186-5523 |
DOI | 10.7134/phlebol.22-9 |
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Summary: | 症例は39歳の女性で職業は調理師の方.不正性器出血を主訴に婦人科を受診し子宮内膜癌の診断となった.同時に右上肢の腫脹を認め,鎖骨下リンパ節転移によるリンパ浮腫を疑われ当科紹介となった.造影CTでは静脈相で右鎖骨下静脈の鎖骨と第一肋骨に挟まれた部位に血栓を認めた.以上より子宮内膜癌が誘因となったがん関連静脈血栓症であると同時に,Paget-Schroetter症候群と類似した慢性刺激も発症機序となった可能性がある上肢深部静脈血栓症と診断した.抗凝固療法による治療を第一選択と考えたが,不正性器出血が継続するため,抗凝固・血栓療法は行わず,子宮全摘を先行した.右上肢の腫脹は,抗凝固療法は行っていなかったが,術前には軽快し,疼痛も軽減していた.術後はアピキサバンによる抗凝固療法を行い,右上肢の腫脹は著明に改善し,現在アピキサバンの維持療法を継続している. |
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ISSN: | 0915-7395 2186-5523 |
DOI: | 10.7134/phlebol.22-9 |