経皮的中隔心筋焼灼術施行後に左室流出路狭窄が再燃し再焼灼にて治療し得た閉塞性肥大型心筋症の1症例

症例は84歳女性.2011年に閉塞性肥大型心筋症(HOCM)を偶発的に指摘され近医通院を開始した.その後2016年8月頃より労作時胸痛が出現し増悪傾向を認め,同年11月に当院循環器内科を紹介受診した.経胸壁心エコーにて最大圧較差119 mmHgの左室流出路狭窄を認め,シベンゾリン,ビソプロロール導入後も改善に乏しく,2017年1月に経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)を施行した.心室中隔基部を灌流する合計4本の中隔枝に対しアルコール焼灼を施行し,術中にエコー上で最大圧較差19 mmHgまで軽減を確認した.術後は症状も消失したため問題なく退院となったが,2カ月後の2017年3月頃より労作時胸痛が再...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 10; pp. 1072 - 1076
Main Authors 勝俣, 良紀, 板橋, 裕史, 荒井, 隆秀, 白石, 泰之, 福田, 恵一, 松本, 龍門, 河野, 隆志, 秋田, 敬太郎, 鶴田, ひかる, 村田, 光繁, 前川, 裕一郎, 三山, 寛司, 湯浅, 慎介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.1072

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Summary:症例は84歳女性.2011年に閉塞性肥大型心筋症(HOCM)を偶発的に指摘され近医通院を開始した.その後2016年8月頃より労作時胸痛が出現し増悪傾向を認め,同年11月に当院循環器内科を紹介受診した.経胸壁心エコーにて最大圧較差119 mmHgの左室流出路狭窄を認め,シベンゾリン,ビソプロロール導入後も改善に乏しく,2017年1月に経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)を施行した.心室中隔基部を灌流する合計4本の中隔枝に対しアルコール焼灼を施行し,術中にエコー上で最大圧較差19 mmHgまで軽減を確認した.術後は症状も消失したため問題なく退院となったが,2カ月後の2017年3月頃より労作時胸痛が再燃し,心エコーで最大圧較差96 mmHgと流出路狭窄の再増悪を認め,PTSMA再施行目的に同年4月に入院となった.冠動脈造影では初回治療時にアルコール焼灼した4本の中隔枝のうち最も近位部の枝に再灌流を認め,同枝に対し再度アルコール焼灼を施行した.術後心エコーで最大圧較差15 mmHgまで改善を認め,症状も消失し,1年半後の現在も再燃なく経過している.今回,初回PTSMA施行後の遠隔期に有症候性の流出路狭窄が再燃し,2回目のPTSMAで治療し得た閉塞性肥大型心筋症の1例を経験したので文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.1072