ペントラキシン3が高値を示した冠動脈瘤合併川崎病の1例

症例は9カ月の男児.川崎病の主要症状6項目中4項目を認め,加えて,非常に不機嫌であること,BCG接種部位の発赤など川崎病を強く疑わせる臨床症状ならびに血液検査を考慮し川崎病を疑った.治療は第3病日より免疫グロブリン点滴静注(以下IVIG)療法を開始したが治療抵抗性のため,第5病日にIVIGを追加し,さらに第8病日にプレドニゾロンの追加を行い解熱した.心臓超音波検査では入院時には明らかな冠動脈病変(以下CAL)は認めなかったが,第9病日にはCAL合併が出現し,最大値は右冠動脈6.5 mm(Zスコア10.44),左冠動脈3.2 mm(Zスコア4.28)となった.CALは発症1カ月時点でも改善を認め...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 12; pp. 1297 - 1303
Main Authors 柳原, 剛, 小林, 光一, 川上, 康彦, 松井, 亮介, 勝部, 康弘, 赤尾, 見春, 宮田, 真貴子, 長嶺, 美和, 田辺, 雄次郎, 高木, 啓倫, 田嶋, 華子, 佐野, 透美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.12.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.1297

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Summary:症例は9カ月の男児.川崎病の主要症状6項目中4項目を認め,加えて,非常に不機嫌であること,BCG接種部位の発赤など川崎病を強く疑わせる臨床症状ならびに血液検査を考慮し川崎病を疑った.治療は第3病日より免疫グロブリン点滴静注(以下IVIG)療法を開始したが治療抵抗性のため,第5病日にIVIGを追加し,さらに第8病日にプレドニゾロンの追加を行い解熱した.心臓超音波検査では入院時には明らかな冠動脈病変(以下CAL)は認めなかったが,第9病日にはCAL合併が出現し,最大値は右冠動脈6.5 mm(Zスコア10.44),左冠動脈3.2 mm(Zスコア4.28)となった.CALは発症1カ月時点でも改善を認められなかった.CRP値は3.66 mg/dLと軽度の上昇に留まっていたが,PTX3値は63.7 ng/mLと著しい高値を認めており,PTX3がIVIG不応例の予測ならびにCAL合併の予測に有用である可能性を示唆する症例と考え,過去のデータレビューとともに報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.1297