Hodgkinリンパ腫再発に対するnivolumab治療中に発症したNOMIの1例

症例は58歳,男性.Hodgkinリンパ腫再発に対し,nivolumabにて治療中であった.化学療法開始5日目から嘔吐があり,翌日から強い腹痛を認め救急搬送となった.入院後も右下腹部に強い圧痛を認め増悪傾向であり,血液検査でWBC・CRPの上昇,造影CTで回腸に部分的な造影不良域を認めSMA本幹の血流は保たれ,その他の部位に絞扼や閉塞の所見はなく,NOMIの疑いにて緊急手術を施行した.手術所見では,遠位回腸に色調不良,虚血,壊死の所見を認め,やはりNOMIを疑う所見であった.ICG蛍光法にて血流評価を行い切除範囲を決定し,小腸部分切除吻合術を行った.術後は麻痺性イレウスとなったが,保存的加療に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 1; pp. 92 - 97
Main Authors 鍋谷, 圭宏, 郡司, 久, 高山, 亘, 桑山, 直樹, 黒崎, 剛史, 星野, 敢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.92

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Summary:症例は58歳,男性.Hodgkinリンパ腫再発に対し,nivolumabにて治療中であった.化学療法開始5日目から嘔吐があり,翌日から強い腹痛を認め救急搬送となった.入院後も右下腹部に強い圧痛を認め増悪傾向であり,血液検査でWBC・CRPの上昇,造影CTで回腸に部分的な造影不良域を認めSMA本幹の血流は保たれ,その他の部位に絞扼や閉塞の所見はなく,NOMIの疑いにて緊急手術を施行した.手術所見では,遠位回腸に色調不良,虚血,壊死の所見を認め,やはりNOMIを疑う所見であった.ICG蛍光法にて血流評価を行い切除範囲を決定し,小腸部分切除吻合術を行った.術後は麻痺性イレウスとなったが,保存的加療にて改善し退院となった.近年,化学療法中にNOMIを発症した報告が散見されるが,nivolumab投与中の報告は認めない.今回われわれは,Hodgkinリンパ腫再発に対しnivolumabにて治療中にNOMIを発症し,外科的治療により救命しえた1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.92