機械学習を用いた高音・低音想起時の脳波データの分類

運動想起や視覚想起の神経デコーディングに関する研究は数多く行われているが, 音想起に関するものは比較的少ない. そこで本研究では, 高音または低音を想起した際の脳波データを機械学習を用いて分類することを試みた. 実験協力者に基準音を2s間聴取させた後, 基準音よりも 1 オクターブ高い音ないしは低い音を3s間想起させ, この際の脳活動を64チャンネル脳波計で計測した. 2条件間で有意差が存在する時間周波数帯域を計算し, その帯域内のパワー値を対象に主成分分析によって次元圧縮を行ったものを特徴量として, 機械学習で分類した. 高音想起の際, 想起開始より 300-1000ms 後に前頭領域におい...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S297
Main Authors 坂本, 嵩, 青山, 敦, 清水, 梨紗, 松下, 佳鈴, 小林, 篤矢, 野見山, 菜摘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S297

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Summary:運動想起や視覚想起の神経デコーディングに関する研究は数多く行われているが, 音想起に関するものは比較的少ない. そこで本研究では, 高音または低音を想起した際の脳波データを機械学習を用いて分類することを試みた. 実験協力者に基準音を2s間聴取させた後, 基準音よりも 1 オクターブ高い音ないしは低い音を3s間想起させ, この際の脳活動を64チャンネル脳波計で計測した. 2条件間で有意差が存在する時間周波数帯域を計算し, その帯域内のパワー値を対象に主成分分析によって次元圧縮を行ったものを特徴量として, 機械学習で分類した. 高音想起の際, 想起開始より 300-1000ms 後に前頭領域において高ベータ帯域とガンマ帯域の活動増強が確認され, 高音と低音想起時の脳波情報は75%の精度で分類された. 以上の結果より, 前頭領域における高周波律動は高音想起に対するより大きな注意負荷を反映しており,この時間周波数的特徴が音想起情報のデコーディングにおいて重要であることが示唆された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S297