3.骨と心血管を巡る破骨細胞形成抑制因子、 「オステオプロテゲリン」

「はじめに」超高齢化社会に突入したわが国において, 「がん」や「認知症」と共に, 「心不全」の発症予防対策は喫緊の課題である. 心不全はいったん発症すると, 急性増悪, 寛解を反復しながら難治化する. アンジオテンシン変換酵素阻害薬やβ遮断薬, 心臓再同期療法等により心不全の生命予後は改善してきたが, 高齢者のそれは未だに悪く, 慢性腎臓病, 慢性閉塞性肺疾患, 貧血などの "併存疾患" が予後に影響する. また, 心不全患者は骨粗鬆による腰椎骨折のリスクが高く, 高齢者心不全患者の10%に椎体圧迫骨折を認めたという. これらの調査研究から高齢者の慢性心不全の管理には, &...

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Published inCIRCULATION CONTROL Vol. 39; no. 3; pp. 157 - 159
Main Authors 鶴田, 敏博, 宇田川, 信之, 北村, 和雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2018
Japan Society of Circulation Control in Medicine
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.39.157

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Summary:「はじめに」超高齢化社会に突入したわが国において, 「がん」や「認知症」と共に, 「心不全」の発症予防対策は喫緊の課題である. 心不全はいったん発症すると, 急性増悪, 寛解を反復しながら難治化する. アンジオテンシン変換酵素阻害薬やβ遮断薬, 心臓再同期療法等により心不全の生命予後は改善してきたが, 高齢者のそれは未だに悪く, 慢性腎臓病, 慢性閉塞性肺疾患, 貧血などの "併存疾患" が予後に影響する. また, 心不全患者は骨粗鬆による腰椎骨折のリスクが高く, 高齢者心不全患者の10%に椎体圧迫骨折を認めたという. これらの調査研究から高齢者の慢性心不全の管理には, "多元的なアプローチ" が必要であることを意味する. さらには, 心不全とこれら併存疾患の間に共通の発症基盤の存在することが示唆される. 加齢, 慢性腎臓病, ビタミンD欠乏, 低体重, 身体活動の低下などは心不全と骨粗鬆症の間に共有される背景因子であろう.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.39.157