経皮的心肺補助法(PCPS)合併症を含めた,全身管理に苦慮した劇症型心筋炎の1例

症例は46歳,男性.数日前より感冒様症状を認めたが,2010年2月呼吸困難が出現し,当院救急外来を受診した.X線写真で心拡大と両側胸水を認め,心臓超音波検査(ultrasonic echocardiography;UCG)で心機能低下を認めた.当院到着直後に無脈性電気活動(pulseless electrical activity;PEA)となり,心肺蘇生を行いながら,大動脈バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping;IABP)を挿入した.冠動脈造影で有意狭窄はなく,左室造影で著明な壁運動低下を認めた.劇症型心筋炎として,経皮的心肺補助法(percutaneo...

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Published in心臓 Vol. 45; no. 8; pp. 1016 - 1023
Main Authors 田川, 実, 渡邉, 雅貴, 中村, 裕一, 高橋, 一也, 落合, 幸江, 小玉, 誠, 目黒, 昌, 相澤, 義房, 池主, 雅臣, 高田, 琢磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2013
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.45.1016

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Summary:症例は46歳,男性.数日前より感冒様症状を認めたが,2010年2月呼吸困難が出現し,当院救急外来を受診した.X線写真で心拡大と両側胸水を認め,心臓超音波検査(ultrasonic echocardiography;UCG)で心機能低下を認めた.当院到着直後に無脈性電気活動(pulseless electrical activity;PEA)となり,心肺蘇生を行いながら,大動脈バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping;IABP)を挿入した.冠動脈造影で有意狭窄はなく,左室造影で著明な壁運動低下を認めた.劇症型心筋炎として,経皮的心肺補助法(percutaneous cardiopulmonary support;PCPS)による補助循環を開始し,免疫グロブリン大量投与も行った.肺うっ血の改善を認め,心係数(cardiac index;CI)も改善傾向を示したが,UCGで壁運動低下は遷延していた.3病日以降低心機能に加えPCPSとIABP挿入部からの出血による血圧低下を認めたが,輸血と止血縫合により血行動態は改善した.11病日にPCPSから離脱した.しかし,PCPS抜去後に好酸球増多と急激な腎機能の増悪を認め,コレステロール塞栓症を疑った.ステロイド投与により腎機能は徐々に改善し,心機能も改善した.劇症型心筋炎の治療に成功したが,PCPS,IABP刺入部からの出血とPCPS抜去後にコレステロール塞栓症を合併したと考えられる1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.1016