極地の雪中微量元素

「はじめに」我々を取り巻く地球環境は, 近年, 温暖化, 酸性雨, オゾン層破壊, 砂漠化, 熱帯林の減少, 災害などから甚大な影響を受けている. これらの一部は, 人間の工業生産活動などの影響によるものと考えられるが, 南極・北極は, 人的汚染から遠く離れているため, 両極域の雪は大気に含まれる化学物質のバックグラウンドレベルを反映していると考えられている[1-9]. これまでにも南極やグリーンランドでは, 氷床の深層から鉛直方向に掘り出された雪床コアサンプルの解析を通して現在から過去十数万年にさかのぼる地球の気候・環境変動の研究が行われてきた[1-6]. また日本の南極観測隊は, 昭和,...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 18; no. 4; pp. 311 - 318
Main Authors 藤井, 理行, 木村, 美恵子, 池川, 雅哉, 本多, 和人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2007
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ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.18.311

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Summary:「はじめに」我々を取り巻く地球環境は, 近年, 温暖化, 酸性雨, オゾン層破壊, 砂漠化, 熱帯林の減少, 災害などから甚大な影響を受けている. これらの一部は, 人間の工業生産活動などの影響によるものと考えられるが, 南極・北極は, 人的汚染から遠く離れているため, 両極域の雪は大気に含まれる化学物質のバックグラウンドレベルを反映していると考えられている[1-9]. これまでにも南極やグリーンランドでは, 氷床の深層から鉛直方向に掘り出された雪床コアサンプルの解析を通して現在から過去十数万年にさかのぼる地球の気候・環境変動の研究が行われてきた[1-6]. また日本の南極観測隊は, 昭和, みずほ, あすか観測基地を拠点に観測活動を行ってきた[10]. さらに南極大陸で2番目に高い東南極内陸に位置する前進基地であるドームふじ基地を拠点に, 南極氷床ドーム深層掘削計画によるボーリング試料の採取が, 1990-1996年にかけて行われた[11-13]. この観測活動の結果得られたアイスコアサンプルには, 過去の地球規模での気候変動の貴重な情報が凝縮されているものと考えられ[12, 13], それらを読み解く上でサンプル中の含有元素濃度の解析手法は, 非常に重要である.
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.18.311