中耳機能10年間の推移-老化に関する長期縦断疫学研究より
中耳の加齢変化は、解剖学的には鼓膜弾性、耳小骨筋、腱、靱帯の剛性、連鎖可動性等に現れるとされるが、個人差が大きく一致した見解はない。今回、中高年地域住民について、中耳機能の推移について検討を行った。10年の測定間隔の前後で評価できた950名[解析1)]と、1回以上の繰り返し参加を含む3333名[解析2)]を対象として、static admittance(静的コンプライアンスに相当)とピーク圧、共振周波数 (RF) の中耳機能3指標を解析した結果、10年前後の測定値相互に相関がみられ、10年では個体の特徴が保たれていた。解析1) と2) のRFで、stiffnessが高齢で軽微ながら増加または減...
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Published in | Otology Japan Vol. 22; no. 3; pp. 223 - 230 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳科学会
2012
日本耳科学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0917-2025 1884-1457 |
DOI | 10.11289/otoljpn.22.223 |
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Summary: | 中耳の加齢変化は、解剖学的には鼓膜弾性、耳小骨筋、腱、靱帯の剛性、連鎖可動性等に現れるとされるが、個人差が大きく一致した見解はない。今回、中高年地域住民について、中耳機能の推移について検討を行った。10年の測定間隔の前後で評価できた950名[解析1)]と、1回以上の繰り返し参加を含む3333名[解析2)]を対象として、static admittance(静的コンプライアンスに相当)とピーク圧、共振周波数 (RF) の中耳機能3指標を解析した結果、10年前後の測定値相互に相関がみられ、10年では個体の特徴が保たれていた。解析1) と2) のRFで、stiffnessが高齢で軽微ながら増加または減少という、二つの相反する結果となり、加齢により、中耳stiffness減少と増加をもたらす、相反する解剖学的変化が個体ごとに様々な程度で混在して方向性が一貫しないことが、中耳加齢の特徴であると推察された。 |
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ISSN: | 0917-2025 1884-1457 |
DOI: | 10.11289/otoljpn.22.223 |