3.慢性腎不全患者の腎動脈下腹部大動脈瘤手術
慢性腎不全という用語は腎臓の機能が数ヵ月から数年をかけて低下した状態を指すが, 2002年にKidney Disease Outcome Quality Initiativeが慢性腎障害(CKD, chronic kidney disease)と定義してからはこちらの用語が広く使われている. CKDは, 糸球体濾過量は正常だが何らかの腎障害がある状態から腎機能が廃絶し血液透析を必要とする状態まで, 幅広い病態を指し, CKD患者は周術期腎臓合併症のハイリスク群であることが知られている. 一方, 腹部大動脈瘤手術は周術期の腎障害リスクが高く, 腎動脈下の腹部大動脈手術でも20%の症例で腎障害が発...
Saved in:
Published in | CIRCULATION CONTROL Vol. 44; no. 2; pp. 77 - 79 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本循環制御医学会
2023
Japan Society of Circulation Control in Medicine |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-1844 |
DOI | 10.11312/ccm.44.77 |
Cover
Summary: | 慢性腎不全という用語は腎臓の機能が数ヵ月から数年をかけて低下した状態を指すが, 2002年にKidney Disease Outcome Quality Initiativeが慢性腎障害(CKD, chronic kidney disease)と定義してからはこちらの用語が広く使われている. CKDは, 糸球体濾過量は正常だが何らかの腎障害がある状態から腎機能が廃絶し血液透析を必要とする状態まで, 幅広い病態を指し, CKD患者は周術期腎臓合併症のハイリスク群であることが知られている. 一方, 腹部大動脈瘤手術は周術期の腎障害リスクが高く, 腎動脈下の腹部大動脈手術でも20%の症例で腎障害が発生し, そのうち14%が透析に移行していることが報告されている. また, CKD患者, 腹部大動脈瘤手術患者ともに心血管合併症のハイリスク患者でもある. 以上より, 慢性腎不全患者の腎動脈下腹部大動脈瘤手術では, 腎機能の更なる悪化を避けること, および心血管合併症を予防することが重要である. |
---|---|
ISSN: | 0389-1844 |
DOI: | 10.11312/ccm.44.77 |