Impellaが有効であった劇症型心筋炎の1例

症例は42歳,女性.来院3日前に38℃台の発熱,倦怠感を自覚した.解熱後も倦怠感は持続し,嘔吐,下痢症状が出現したため前医を受診,経過観察入院した.同日夕方血圧低下,徐脈を認めたため当院へ紹介搬送された.CK値が1268 U/Lと上昇しており,心電図で完全房室ブロックを認めたこと,経胸壁心エコーで心筋全体の浮腫とびまん性左室壁運動低下を認めたことから急性心筋炎が疑われた.カテコラミン投与下でも血圧維持が困難であり,補助循環として緊急的にImpella CPと一時ペーシングを留置した.心筋生検,冠動脈造影を施行し冠動脈には狭窄病変を認めなかった.ICUで集学的治療を継続しカテコラミン投与下で収縮...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 9; pp. 1066 - 1071
Main Authors 宮島, 等, 小倉, 理代, 大谷, 龍治, 當別當, 洋平, 瀬野, 明穂, 弓場, 健一郎, 高橋, 健文, 元木, 康一郎, 栗本, 真吾, 細川, 忍, 岸, 宏一, 大谷, 啓太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.09.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.54.1066

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Summary:症例は42歳,女性.来院3日前に38℃台の発熱,倦怠感を自覚した.解熱後も倦怠感は持続し,嘔吐,下痢症状が出現したため前医を受診,経過観察入院した.同日夕方血圧低下,徐脈を認めたため当院へ紹介搬送された.CK値が1268 U/Lと上昇しており,心電図で完全房室ブロックを認めたこと,経胸壁心エコーで心筋全体の浮腫とびまん性左室壁運動低下を認めたことから急性心筋炎が疑われた.カテコラミン投与下でも血圧維持が困難であり,補助循環として緊急的にImpella CPと一時ペーシングを留置した.心筋生検,冠動脈造影を施行し冠動脈には狭窄病変を認めなかった.ICUで集学的治療を継続しカテコラミン投与下で収縮期血圧100mmHg程度を維持,翌日正常洞調律に復帰した.CK値は依然高値のまま推移したため第2病日よりステロイドパルス療法,免疫グロブリン療法を開始した.徐々に心機能改善し,第5病日にImpella離脱,カテコラミン離脱後も収縮期血圧が保たれるようになった.また,経胸壁心エコー検査では当初30%程度であった左室駆出率が,正常まで改善し,心筋浮腫も消失した.順調に経過し第25病日に独歩退院が可能であった. 近年,Impellaの導入により良好な予後が得られた症例報告が増加している.今回,Impellaによる補助循環が有効であった劇症型心筋炎の症例を経験したため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.1066