内臓動脈瘤に対する当科の治療戦略—手術治療(外科的手術,血管内治療)と保存的治療の予後

要  旨:【目的】当科の内臓動脈瘤に対する治療戦略の妥当性を検討した.【対象と方法】2001~2012年6月に内臓動脈瘤43例48瘤(腎動脈瘤17瘤,脾動脈瘤20瘤,腹腔動脈瘤3瘤,上腸間膜動脈瘤6瘤,下膵十二指腸動脈瘤1瘤,肝動脈瘤1瘤)を経験した.瘤径20 mm以上,有症状,仮性瘤,上腸間膜動脈分枝瘤を治療対象とし,それ以外を経過観察とした.例外として20 mm前半のeggshellを呈する腎動脈瘤2瘤,脾動脈瘤1瘤は経過観察とした.血管内治療(endovascular treatment; EVT)を第一選択とし,血行再建を要す場合や解剖学的にEVT不適の場合は外科的手術(open su...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 633 - 639
Main Authors 村上, 雅憲, 濱野, 公一, 末廣, 晃太郎, 山下, 修, 森景, 則保, 佐村, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 25.04.2013
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.22.633

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Summary:要  旨:【目的】当科の内臓動脈瘤に対する治療戦略の妥当性を検討した.【対象と方法】2001~2012年6月に内臓動脈瘤43例48瘤(腎動脈瘤17瘤,脾動脈瘤20瘤,腹腔動脈瘤3瘤,上腸間膜動脈瘤6瘤,下膵十二指腸動脈瘤1瘤,肝動脈瘤1瘤)を経験した.瘤径20 mm以上,有症状,仮性瘤,上腸間膜動脈分枝瘤を治療対象とし,それ以外を経過観察とした.例外として20 mm前半のeggshellを呈する腎動脈瘤2瘤,脾動脈瘤1瘤は経過観察とした.血管内治療(endovascular treatment; EVT)を第一選択とし,血行再建を要す場合や解剖学的にEVT不適の場合は外科的手術(open surgery; OS)を施行した.【結果】8瘤にOS,9瘤にEVTを施行した.OSは腎動脈瘤2瘤に瘤切除・血行再建術,脾動脈瘤3瘤に瘤切除,瘤切除・血行再建術,瘤切除・脾摘術,上腸間膜動脈瘤2瘤に瘤切除・血行再建術,下膵十二指腸動脈瘤に瘤切除を施行した.EVTは腎動脈瘤3瘤,脾動脈瘤5瘤,肝動脈瘤1瘤にコイル塞栓術を施行した.早期合併症はEVTの穿刺部仮性瘤1例のみで,晩期合併症はOS,EVTいずれも認めず,全例が完全社会復帰した.経過観察とした31瘤は,初診時13.1±3.3 mmに対して最終確認時13.5±3.7 mmと有意な瘤径増大はなかった(p=0.12, 観察期間43±19カ月).OS,EVTの累積生存率は5年100%,8年75%,経過観察症例は5年92%,8年92%で,いずれも瘤関連死亡はみられなかった.【結論】OS,EVTおよび経過観察症例はいずれも良好な経過であり,現在の治療戦略は妥当と思われた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.22.633