PAU(penetrating atherosclerotic ulcer)によると考えられた腹部仮性大動脈瘤の1例
症例は70歳男性.高血圧で近医に通院中であった.1カ月前から腹部不快感があったが,急に腹痛が出現し,耐え難い激痛が2日間持続した.近医を受診し,内服薬で保存的に経過をみていたが,症状の改善がみられず,精査目的に当院の消化器内科へ紹介となった.CT検査,内視鏡検査などを施行したが,消化器内科的処置を要する異常は認めなかった.8日後のフォローCTで,PAU(penetrating atherosclerotic ulcer)の拡大と大動脈周囲の血腫の増大を認めたため,当科へ紹介となった.準緊急で腹部大動脈人工血管置換術を行った.術中所見ではCTでPAUが存在していた部位に2 cm大の大動脈壁全層の...
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Published in | 心臓 Vol. 52; no. 9; pp. 1044 - 1048 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.09.2020
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.52.1044 |
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Summary: | 症例は70歳男性.高血圧で近医に通院中であった.1カ月前から腹部不快感があったが,急に腹痛が出現し,耐え難い激痛が2日間持続した.近医を受診し,内服薬で保存的に経過をみていたが,症状の改善がみられず,精査目的に当院の消化器内科へ紹介となった.CT検査,内視鏡検査などを施行したが,消化器内科的処置を要する異常は認めなかった.8日後のフォローCTで,PAU(penetrating atherosclerotic ulcer)の拡大と大動脈周囲の血腫の増大を認めたため,当科へ紹介となった.準緊急で腹部大動脈人工血管置換術を行った.術中所見ではCTでPAUが存在していた部位に2 cm大の大動脈壁全層の欠損部を認めた.PAUによる腹部仮性大動脈瘤は稀であるが,早期の診断と症例に応じた治療方針を検討することが重要である. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.52.1044 |