巨大左房による左気管支閉塞に対して左房縮小術を施行した3歳児の1例

われわれは,先天性僧帽弁閉鎖不全症に続発した巨大左房により,左気管支の圧迫閉塞をきたした3歳児に対して,autotransplantation変法による左房縫縮術と僧帽弁形成術を施行し,良好な結果を得た症例を経験した.巨大左房は,血栓塞栓症,不整脈のリスクや気管,心室,大静脈,肺動脈など,周囲組織への圧迫症状などを引き起こす可能性がある.加えて,僧帽弁手術の際の合併症発生や,術後在院日数の延長,術後死亡率上昇のリスクファクターとなり得る.先天性僧帽弁異常の多くは,大動脈弁下狭窄症や心室中隔欠損症,大動脈縮窄症など,ほかの異常を合併することが多く,今回の症例のように単独で発症した先天性の僧帽弁異...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 8; pp. 1081 - 1085
Main Authors 村山, 弘臣, 長谷川, 広樹, 前田, 正信, 八神, 啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2012
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.1081

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Summary:われわれは,先天性僧帽弁閉鎖不全症に続発した巨大左房により,左気管支の圧迫閉塞をきたした3歳児に対して,autotransplantation変法による左房縫縮術と僧帽弁形成術を施行し,良好な結果を得た症例を経験した.巨大左房は,血栓塞栓症,不整脈のリスクや気管,心室,大静脈,肺動脈など,周囲組織への圧迫症状などを引き起こす可能性がある.加えて,僧帽弁手術の際の合併症発生や,術後在院日数の延長,術後死亡率上昇のリスクファクターとなり得る.先天性僧帽弁異常の多くは,大動脈弁下狭窄症や心室中隔欠損症,大動脈縮窄症など,ほかの異常を合併することが多く,今回の症例のように単独で発症した先天性の僧帽弁異常は比較的稀である.また,巨大左房は長期間僧帽弁疾患を罹患した結果生じることが一般的であり,小児での報告例は少ない.小児においても,外科的修復が必要な僧帽弁疾患に合併する巨大左房に対して,左房縮小術は考慮すべき手技であると考えている.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1081