器官再生医療の実現に向けた戦略と研究の展開

[次世代医療システムとしての再生医療] 再生医学は, 幹細胞生物学や組織工学, 生物学的な発生・再生の原理による新たな学問体系として確立され, 21世紀の新しい医療システムとして再生医療へと発展することが期待されている1,2). 現在, 第一世代の再生医療として, 生体の組織の維持と修復のための組織幹細胞を, 疾患や傷害を受けた組織へ移入する"幹細胞移入療法"が進められており, 幅広い疾患において臨床研究が進められている3). さらに第二世代の再生医療として, 単一の細胞種からなる組織を再生する技術開発が進んでおり, 細胞シート工学や, 生体吸収性・非吸収性の人工担体と細胞...

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Published inOrgan Biology Vol. 20; no. 2; pp. 97 - 106
Main Author 辻, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 10.07.2013
日本臓器保存生物医学会
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ISSN1340-5152
2188-0204
DOI10.11378/organbio.20.97

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Summary:[次世代医療システムとしての再生医療] 再生医学は, 幹細胞生物学や組織工学, 生物学的な発生・再生の原理による新たな学問体系として確立され, 21世紀の新しい医療システムとして再生医療へと発展することが期待されている1,2). 現在, 第一世代の再生医療として, 生体の組織の維持と修復のための組織幹細胞を, 疾患や傷害を受けた組織へ移入する"幹細胞移入療法"が進められており, 幅広い疾患において臨床研究が進められている3). さらに第二世代の再生医療として, 単一の細胞種からなる組織を再生する技術開発が進んでおり, 細胞シート工学や, 生体吸収性・非吸収性の人工担体と細胞との組織形成技術開発が進められ, 臨床応用化へと発展しつつある4,5). 培養表皮は日本第一号の再生医療製品として実用化され, 角膜上皮細胞シート, 心筋シートなどが組織再生医療に応用されることが期待されている. 再生医療の大きな目標は, 疾患や外傷, 高齢化により機能不全に陥った器官を, 人為的に再生した器官と置き換える"器官再生医療"である6).
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.20.97