検査室における誤報告8年間100例の特徴

検査室における医療安全の取り組みの中で,インシデントの原因・影響を分析することは重要である。本研究は2009年4月から2017年3月までの8年間に当院検査室で発生したインシデント326件のうち誤報告100件を対象として,発生頻度,関連した部署,要因,技師の経験年数,患者への影響(インシデントレベル)について検討した。100日あたりの誤報告件数は全体では3.4件で,部門別では生理検査部門に多かった。検体検査における業務時間帯別の誤報告率は,日勤帯より日当直帯で高かった。誤報告の発生要因は不注意・錯誤・知識不足の順に多かった。技師1人あたりの誤報告件数を経験年数別にみると,30年目以上で最も多かっ...

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Published in医学検査 Vol. 68; no. 3; pp. 443 - 449
Main Authors 二村, 亜子, 加藤, 秀樹, 牧, 俊哉, 佐藤, 彩, 湯浅, 典博, 橋本, 卓典, 加藤, 敦美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2019
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.18-128

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Summary:検査室における医療安全の取り組みの中で,インシデントの原因・影響を分析することは重要である。本研究は2009年4月から2017年3月までの8年間に当院検査室で発生したインシデント326件のうち誤報告100件を対象として,発生頻度,関連した部署,要因,技師の経験年数,患者への影響(インシデントレベル)について検討した。100日あたりの誤報告件数は全体では3.4件で,部門別では生理検査部門に多かった。検体検査における業務時間帯別の誤報告率は,日勤帯より日当直帯で高かった。誤報告の発生要因は不注意・錯誤・知識不足の順に多かった。技師1人あたりの誤報告件数を経験年数別にみると,30年目以上で最も多かった。検査結果の誤報告は再検査が必要となることが多く,また,患者の転室・転院や不適切な薬剤投与につながることがあった。誤報告に至った原因・経過を分析し,これに有効な対策を立てること,またこれを検査室全体で共有することにより誤報告は減少する可能性がある。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-128