下顎前突症患者の正面顔貌の対称性評価

緒言 下顎前突症患者の治療計画の立案に際し, 軟組織の変形の部位, 程度を的確に把握することは外科的矯正治療の適否や手術術式の選択1-3)はもとより, 手術前後の矯正治療 目標の設定にとっても極めて重視されるべき問題である. また近年, 下顎前突症患者が外科的矯正治療を希望する理由として審美性の改善を挙げることが多くなっている4). それらの患者の多くは, 術前は主に側貌の審美性を気にしており, 正貌の左右非対称性を問題にしていることは少ない5). しかし, 術後には, 術前に側貌にあった患者の関心が正貌に移る可能性が指摘6)されている. 外科的矯正治療が適応となる下顎前突症患者に対して, 側...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 平瀬, 直子, 鐘ヶ江, 晴秀, 西尾, 日朗子, 大塚, 雄一郎, 松井, 成幸, 高柳, 譲司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2005
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.15.1

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Summary:緒言 下顎前突症患者の治療計画の立案に際し, 軟組織の変形の部位, 程度を的確に把握することは外科的矯正治療の適否や手術術式の選択1-3)はもとより, 手術前後の矯正治療 目標の設定にとっても極めて重視されるべき問題である. また近年, 下顎前突症患者が外科的矯正治療を希望する理由として審美性の改善を挙げることが多くなっている4). それらの患者の多くは, 術前は主に側貌の審美性を気にしており, 正貌の左右非対称性を問題にしていることは少ない5). しかし, 術後には, 術前に側貌にあった患者の関心が正貌に移る可能性が指摘6)されている. 外科的矯正治療が適応となる下顎前突症患者に対して, 側面頭部X線規格写真1-3)や正面頭部X線規格写真7-10)などを用いて, 硬組織について検討された報告は数多く存在するが, 正貌顔面規格写真の詳細について検討を行った報告は少ない11, 12). そこで, 今回われわれは, 顔面の非対称を評価する判断基準を設定し, 下顎前突症患者を分類し, 下顎前突症患者の正貌顔面規格写真上で水平垂直的距離および角度計測を行い, 顔面非対称症例の割合およびその特徴について検討した. 資料および方法 1. 研究対象 対象として, 明海大学歯学部付属明海大学病院矯正歯科に1998年から2001年に受診した患者のうち, 先天異常を有さず骨格性下顎前突症と診断された患者50名を抽出した. 男女別の人数は男子20名, 女子30名であり, 平均年齢は21歳6か月である. 2. 研究資料と方法 1)正貌顔面規格写真について資料として, 初診時に撮影された正貌顔面規格写真を用いた. 正貌顔面規格写真の撮影条件は, Lewisら13)や Wolfgang14)の研究を参考にした. すなわち写真撮影に際して, カメラからイヤーロッドの距離を1.5mに設定し, 被験者を椅子に座らせ, 頭部をイヤーロッドより左右外耳道にて固定し, レンズに向かってまっすぐに視点を合わ せるように指示して条件を統一した. 全ての撮影は同じカメラ(nikon F3, ニコン, 東京), レンズ(zoom nikkor 35~105m 1:3.5~4.5, ニコン, 東京), フィルム(fuji- chrome sensia H, 富士フィルム, 東京)を使用した. 次に, 正貌顔面規格写真画像をスキャナー(Epson社製, 長野)によりコンピューター(Vaio, Sony, 東京)に取り 込み, 画像処理ソフト(Photoshop TM6, Adobe, California, USA)で処理後, 実寸大で出力したものを正貌顔面規格写真として採用した.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.15.1