片側性肺動脈欠損症に合併した気管支動脈瘤の1例

片側性肺動脈欠損症は稀な先天性奇形で,胸部X線写真所見にて鑑別疾患の1つに挙げられることが多く,先天性心疾患を伴うものや無症状で経過しても反復性感染症,肺高血圧症等を合併し,それらが予後不良因子となる.我々は,無症状で経過した成人の片側性肺動脈欠損症に合併した縦隔型気管支動脈瘤の症例を経験した. 症例:48歳,女性.30歳頃に原因不明の発熱で入院歴と未治療の高血圧の既往があった.検診で胸部異常陰影を指摘され,近医受診し胸部大動脈瘤を認め当院紹介となった.心電図や血液検査所見,心エコー検査所見に特記すべきことはなかった.胸部X線写真で左肺野拡大と透過性亢進,右側縦隔偏位を認め,CTにて右主肺動脈...

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Published in心臓 Vol. 50; no. 5; pp. 574 - 578
Main Authors 滝浪, 学, 影山, 理恵, 植野, 恭平, 緑川, 博文, 菅野, 恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.05.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.50.574

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Summary:片側性肺動脈欠損症は稀な先天性奇形で,胸部X線写真所見にて鑑別疾患の1つに挙げられることが多く,先天性心疾患を伴うものや無症状で経過しても反復性感染症,肺高血圧症等を合併し,それらが予後不良因子となる.我々は,無症状で経過した成人の片側性肺動脈欠損症に合併した縦隔型気管支動脈瘤の症例を経験した. 症例:48歳,女性.30歳頃に原因不明の発熱で入院歴と未治療の高血圧の既往があった.検診で胸部異常陰影を指摘され,近医受診し胸部大動脈瘤を認め当院紹介となった.心電図や血液検査所見,心エコー検査所見に特記すべきことはなかった.胸部X線写真で左肺野拡大と透過性亢進,右側縦隔偏位を認め,CTにて右主肺動脈欠損と右肺の低形成,16×15 mmの気管支動脈瘤を認めた. 手術経過:気管支動脈瘤に対し,コイル塞栓術を施行した.術後経過は良好で術後2日目に退院した. 結語:稀な片側性肺動脈欠損症に合併した気管支動脈瘤の1例にコイル塞栓術を施行し,良好な結果を得た.今後も,肺高血圧等の合併症や他の血管異常,瘤化の可能性を考慮し,経過観察していく所存である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.574