曽根論文に対するEditorial Comment

心臓血管外科手術は抗凝固剤であるヘパリンを使用して, 全く血液凝固しない状況下で手術を行い, それを中和してもヘパリン作用の残存, 凝固因子の消費欠乏, 血液希釈による粘性の低下, 血小板数の減少など, 様々な止血困難となりうる因子が出現し, 止血に難渋することを少なからず経験する. 曽根論文の症例は心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症, 三尖弁閉鎖不全症に対して弁形成術および右房縫縮, メイズ手術が行われたが, 3回の出血に対する再開胸手術が行われている. それぞれ開胸での観察時には出血点は発見できず, 閉胸するとまた出血が再開するという外科医にとっては悪夢のような時間であったことは間違いない....

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Published in心臓 Vol. 56; no. 4; pp. 412 - 413
Main Author 安達, 晃一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2024
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.56.412

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Summary:心臓血管外科手術は抗凝固剤であるヘパリンを使用して, 全く血液凝固しない状況下で手術を行い, それを中和してもヘパリン作用の残存, 凝固因子の消費欠乏, 血液希釈による粘性の低下, 血小板数の減少など, 様々な止血困難となりうる因子が出現し, 止血に難渋することを少なからず経験する. 曽根論文の症例は心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症, 三尖弁閉鎖不全症に対して弁形成術および右房縫縮, メイズ手術が行われたが, 3回の出血に対する再開胸手術が行われている. それぞれ開胸での観察時には出血点は発見できず, 閉胸するとまた出血が再開するという外科医にとっては悪夢のような時間であったことは間違いない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.56.412