術前に発見された対側の部分肺静脈還流異常症に対し修復術を先行し肺癌手術を行った症例
部分肺静脈還流異常症(PAPVC:partial anomalous pulmonary venous connection)は,肺静脈の一部が左房ではなく体循環静脈系に還流する稀な先天奇形である.肺癌手術において切除予定外の肺葉に存在するPAPVCがあると,分離肺換気に伴う術中の低酸素や,肺葉切除後に左-右シャントが増大し,術後右心不全のリスクとなる. 症例は70代男性.健診の画像検査で胸部異常陰影を指摘され,当院受診.気管支鏡検査で右肺上葉腺癌の診断となり,右上葉切除手術予定となった.しかし,術前CTで左肺全部のPAPVCを指摘された.左肺動脈造影で,左上下肺静脈が合流し,垂直静脈を介し,...
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| Published in | 心臓 Vol. 53; no. 6; pp. 591 - 597 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.06.2021
日本心臓財団・日本循環器学会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI | 10.11281/shinzo.53.591 |
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| Summary: | 部分肺静脈還流異常症(PAPVC:partial anomalous pulmonary venous connection)は,肺静脈の一部が左房ではなく体循環静脈系に還流する稀な先天奇形である.肺癌手術において切除予定外の肺葉に存在するPAPVCがあると,分離肺換気に伴う術中の低酸素や,肺葉切除後に左-右シャントが増大し,術後右心不全のリスクとなる. 症例は70代男性.健診の画像検査で胸部異常陰影を指摘され,当院受診.気管支鏡検査で右肺上葉腺癌の診断となり,右上葉切除手術予定となった.しかし,術前CTで左肺全部のPAPVCを指摘された.左肺動脈造影で,左上下肺静脈が合流し,垂直静脈を介し,無名静脈へと還流していた.心臓MRIを用いて計算した肺体血流比(Qp/Qs)は1.80であった.まず,PAPVCの修復術を行い,二期的に肺癌手術を行った. 今回,肺癌部分切除の術前検査で対側肺にPAPVCを認め,PAPVCの修復術を先行し,安全に肺癌手術を行えた症例を経験したので報告する. |
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| ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI: | 10.11281/shinzo.53.591 |