左室憩室を起源とした心室頻拍が心停止の原因と考えられた20歳男性

症例は20歳,男性.友人とバドミントンをしている最中に突然心停止した.バイスタンダーでCPRが施行されAEDが計6回作動したが蘇生せず,当院に救急搬送された.64分間の心停止後に心拍再開したが循環動態が保てず,気管挿管管理下にPCPS・IABPを必要とした.一時PCPSからVV-ECMOに切り替えるなど呼吸循環管理に難渋したが,後遺症なく蘇生後13日で自立歩行が可能となった.冠動脈造影およびアセチルコリン負荷試験,心筋生検では異常を認めなかったが,心臓MRIで左室後側壁に径18mmの心室憩室を認めた.電気生理学的検査を行うと容易に心室頻拍が再現され,この憩室が起源と考えられた,心室頻拍根治を目...

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Published in心臓 Vol. 50; no. 5; pp. 568 - 573
Main Authors 川松, 直人, 丹羽, 公一郎, 千丈, 創, 山崎, 学, 吉野, 邦彦, 新沼, 廣幸, 小宮山, 伸之, 阿部, 恒平, 横山, 泰廣, 三隅, 寛恭, 木全, 啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.05.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.50.568

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Summary:症例は20歳,男性.友人とバドミントンをしている最中に突然心停止した.バイスタンダーでCPRが施行されAEDが計6回作動したが蘇生せず,当院に救急搬送された.64分間の心停止後に心拍再開したが循環動態が保てず,気管挿管管理下にPCPS・IABPを必要とした.一時PCPSからVV-ECMOに切り替えるなど呼吸循環管理に難渋したが,後遺症なく蘇生後13日で自立歩行が可能となった.冠動脈造影およびアセチルコリン負荷試験,心筋生検では異常を認めなかったが,心臓MRIで左室後側壁に径18mmの心室憩室を認めた.電気生理学的検査を行うと容易に心室頻拍が再現され,この憩室が起源と考えられた,心室頻拍根治を目的に左室憩室の外科的切除を行った.その後約1年間心室頻拍は再発していない.心室頻拍が心停止の原因と断定することは困難であったが,左室憩室が心室頻拍の起源と考えられ,切除術を行うことでコントロールが可能であった症例を報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.568