左室流出路閉塞から左室中部閉塞に移行し2回の経皮的中隔心筋焼灼術で治療しえた閉塞性肥大型心筋症の1例

症例は60代女性.労作時呼吸困難を主訴に指摘した左室流出路閉塞(LVOTO)の閉塞性肥大型心筋症〔最大圧較差(peak PG) 55-83 mmHg〕に対して,2017年5月に第一中隔枝へ初回の経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)を施行した.術後に圧較差の改善を認めた(peak PG 54 mmHgから15 mmHg)ものの,その後1年経過した頃から外来で圧較差の再上昇と症状の再増悪を認めた.シベンゾリンを追加して症状と圧較差の改善(peak PG 51 mmHgから23 mmHg)を得たが,シベンゾリンに伴う低血糖が出現した.同薬を減量中に症状の再増悪とともに,ドブタミン負荷心エコー図検査で左...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 2; pp. 180 - 187
Main Authors 平山, 恭孝, 松浦, 啓, 黒田, 優, 藤岡, 知夫, 野田, 翼, 河田, 正仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.02.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.54.180

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Summary:症例は60代女性.労作時呼吸困難を主訴に指摘した左室流出路閉塞(LVOTO)の閉塞性肥大型心筋症〔最大圧較差(peak PG) 55-83 mmHg〕に対して,2017年5月に第一中隔枝へ初回の経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)を施行した.術後に圧較差の改善を認めた(peak PG 54 mmHgから15 mmHg)ものの,その後1年経過した頃から外来で圧較差の再上昇と症状の再増悪を認めた.シベンゾリンを追加して症状と圧較差の改善(peak PG 51 mmHgから23 mmHg)を得たが,シベンゾリンに伴う低血糖が出現した.同薬を減量中に症状の再増悪とともに,ドブタミン負荷心エコー図検査で左室中部の圧較差上昇(peak PG 62 mmHg)を認めたため,左室中部閉塞(MVO)と診断した.2019年6月に第二中隔枝へ2回目のPTSMAを施行し,圧較差の改善(peak PG 4 mmHg)と症状の改善を得た.今回,我々はLVOTOへの初回PTSMA後の慢性期にMVOが出現し,2回目のPTSMAで治療しえた稀有な症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.180