拡大傾向にある腹部大動脈瘤に腹腔鏡下後腹膜生検を施行しIgG4関連大動脈周囲炎と診断した1例
Immunoglobulin G4(IgG4)関連大動脈周囲炎は免疫異常や血中IgG4高値に加え,リンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により腫瘍性・肥厚性病変を呈する慢性疾患である.炎症性腹部大動脈瘤(IAAA)の一部がIgG4関連大動脈周囲炎であることが報告されている.今回長期的な経過観察中,徐々に拡大する腹部大動脈瘤(AAA)に炎症性変化を認め腹腔鏡下生検にて確定診断に至った症例を経験したので報告する. 症例は67歳男性で32 mm大のAAAを指摘された.経時的に拡大傾向で初診時から9年で瘤径が45 mm大となり,さらに動脈瘤前面に軟部陰影の出現を認めた.CT検査後1カ月で腹...
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Published in | 心臓 Vol. 52; no. 6; pp. 644 - 649 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.06.2020
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.52.644 |
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Summary: | Immunoglobulin G4(IgG4)関連大動脈周囲炎は免疫異常や血中IgG4高値に加え,リンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により腫瘍性・肥厚性病変を呈する慢性疾患である.炎症性腹部大動脈瘤(IAAA)の一部がIgG4関連大動脈周囲炎であることが報告されている.今回長期的な経過観察中,徐々に拡大する腹部大動脈瘤(AAA)に炎症性変化を認め腹腔鏡下生検にて確定診断に至った症例を経験したので報告する. 症例は67歳男性で32 mm大のAAAを指摘された.経時的に拡大傾向で初診時から9年で瘤径が45 mm大となり,さらに動脈瘤前面に軟部陰影の出現を認めた.CT検査後1カ月で腹痛が出現し,血清IgG4は高値であった.その後も腹痛が持続したため,切迫破裂の診断でステントグラフト内挿術を施行した.術後7日目に腹腔鏡下後腹膜生検を行い病理所見でIgG4関連大動脈周囲炎と確定診断に至りステロイド治療を開始した.経過良好で腹痛は消失し瘤の再拡大を認めていない. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.52.644 |