結帯動作制限を生じた肩関節周囲炎一症例に対する治療戦略

【目的】結帯動作は運動時痛や可動域制限があることで困難となってしまう。今回,肩の機能解剖を意識して徒手操作を行ったことで,改善に繋がった一症例を経験したので報告する。【方法】肩関節周囲炎を伴い,結帯動作制限となった50歳代女性に対して運動療法を実施した。3カ月後,肩周囲の痛みが残存していたために理学療法内容を再度検討した。動作時,上腕骨頭が前方変位していたために求心位を取れるように,棘下筋を介した周囲組織に対して徒手操作を加えた運動療法を行った。【結果】初期評価で結帯動作第5腰椎レベルだったが,最終評価で第4胸椎レベルまで痛み無く可能となった。【結論】今回,肩峰下や肩峰角など特定の部位を意識し...

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Published in理学療法の科学と研究 Vol. 14; no. 1; pp. 14_57 - 14_61
Main Author 稲葉, 長彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 千葉県理学療法士会 24.03.2023
千葉県理学療法士会
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ISSN1884-9032
2758-3864
DOI10.57476/srpt.14.1_14_57

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Summary:【目的】結帯動作は運動時痛や可動域制限があることで困難となってしまう。今回,肩の機能解剖を意識して徒手操作を行ったことで,改善に繋がった一症例を経験したので報告する。【方法】肩関節周囲炎を伴い,結帯動作制限となった50歳代女性に対して運動療法を実施した。3カ月後,肩周囲の痛みが残存していたために理学療法内容を再度検討した。動作時,上腕骨頭が前方変位していたために求心位を取れるように,棘下筋を介した周囲組織に対して徒手操作を加えた運動療法を行った。【結果】初期評価で結帯動作第5腰椎レベルだったが,最終評価で第4胸椎レベルまで痛み無く可能となった。【結論】今回,肩峰下や肩峰角など特定の部位を意識した介入や肩の求心位を保ちながらの操作により改善に至った。肩疾患患者の運動時痛に対して,肩の機能解剖をより重視し,徒手の細かい治療操作が有効であったと考えられた。
ISSN:1884-9032
2758-3864
DOI:10.57476/srpt.14.1_14_57