COVID-19流行下において体外循環式心肺蘇生を導入した院外心停止の1例

COVID-19流行下では院外心停止例の病院到着までの時間が延長し,転帰が不良となる傾向が諸外国で報告されており,日本でも同様な問題が懸念される.COVID-19流行下において体外循環式心肺蘇生法(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation;ECPR)を導入し良好な転帰を得た症例を,COVID-19流行以前にECPRを導入した症例の病院前経過と比較,考察し報告する. 症例は67歳男性,来院時心肺停止で搬送された.救急隊現着時の初期波形は心室細動(ventricular fibrillation;VF),明確なwitnessがあり,bystander...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 7; pp. 797 - 802
Main Authors 田代, 一真, 辻内, 美希, 倉田, 征昭, 前田, 敦雄, 森, 敬善, 久保田, 仁美, 鈴木, 洋, 武井, 洋介, 曽根, 浩元, 小貫, 龍也, 佐藤, 督忠, 間瀬, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.07.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.54.797

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Summary:COVID-19流行下では院外心停止例の病院到着までの時間が延長し,転帰が不良となる傾向が諸外国で報告されており,日本でも同様な問題が懸念される.COVID-19流行下において体外循環式心肺蘇生法(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation;ECPR)を導入し良好な転帰を得た症例を,COVID-19流行以前にECPRを導入した症例の病院前経過と比較,考察し報告する. 症例は67歳男性,来院時心肺停止で搬送された.救急隊現着時の初期波形は心室細動(ventricular fibrillation;VF),明確なwitnessがあり,bystander CPR(cardiopulmonary resuscitation;CPR)が行われていた.計8回の自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)が作動し,一度心拍再開を認めたが,再度心停止した.救急要請から救急到着までの時間は12分,救急隊到着から病院到着までは21分であった. 来院後もVFが持続したため,ECPRを導入した.病院到着時からECPR導入までに要した時間は32分であり,導入後に冠動脈造影(coronary angio graphy;CAG)を施行したところ,右冠動脈#①の99%狭窄を認め,経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)を施行した.大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping;IABP)を開始後に集中治療室へ入室した.その後,血行動態は改善し,第4病日には経皮的心肺補助装置を離脱,第5病日にIABPを抜去した.COVID-19 PCR検査の3回陰性が確認された後に,個室隔離が解除され,リハビリテーションを開始した.第35病日,独歩にて退院した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.797