ペースメーカーリード感染に対し, 経大腿静脈アプローチにて留置後20年のペーシングリードを抜去し得た1例

症例は76歳, 女性. 1989年に洞不全症候群(II型)にてDDDペースメーカー植え込みを施行した. 2001年にペースメーカー感染を発症したため, 保存的治療を行い, 以降, 良好に経過していた. 2008年6月に電池消耗のため, ペースメーカー交換を施行した. その18日後にポケット部の皮膚に瘻孔が形成され, 膿の漏出が認められ, ペースメーカー感染の診断で入院となった. ペースメーカー本体を除去し, ポケット内デブリードマンを行った. リード線は用手法では容易には抜去できず, 可視範囲内で2本ともリードのコネクト部を切断した. 血液とポケット内の培養より緑膿菌が検出されたため, 6週間...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 4; pp. 505 - 509
Main Authors 細田, 順也, 松下, 浩平, 石上, 友章, 宮本, 美穂子, 三樹, 祐子, 内野, 和顕, 梅村, 敏, 石川, 利之, 山川, 陽平, 松本, 克己, 菅野, 晃靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.505

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Summary:症例は76歳, 女性. 1989年に洞不全症候群(II型)にてDDDペースメーカー植え込みを施行した. 2001年にペースメーカー感染を発症したため, 保存的治療を行い, 以降, 良好に経過していた. 2008年6月に電池消耗のため, ペースメーカー交換を施行した. その18日後にポケット部の皮膚に瘻孔が形成され, 膿の漏出が認められ, ペースメーカー感染の診断で入院となった. ペースメーカー本体を除去し, ポケット内デブリードマンを行った. リード線は用手法では容易には抜去できず, 可視範囲内で2本ともリードのコネクト部を切断した. 血液とポケット内の培養より緑膿菌が検出されたため, 6週間抗生物質投与を行った. しかし, 2009年3月に39℃の発熱にて入院となった. 血液培養より緑膿菌が検出され, 残存リード線の感染と診断した. 2009年3月中旬に心臓外科医および体外循環装置の待機下, 心室リード(フィン型)に対して, 右大腿静脈アプローチでリード抜去術を行った. 8Frブライトチップシースを右大腿静脈に挿入した. ピッグテイルカテーテルをリードにかけ, アンプラッツグーズネックスネアでガイドワイヤーを捕捉し, ループを作成した. リードの中の鎖骨下静脈断端に近い部位に固定し引いたところ, 同側のリード断端が遊離された. 次にその断端をスネアで捕捉し, シースとともに引いたところ, リード全体を抜去することができた. ペースメーカーリード感染に対し, 経大腿静脈アプローチにて留置後20年のペーシングリードを抜去し得た症例について報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.505