Mycotic aneurysmを伴わないクモ膜下出血を繰り返した感染性心内膜炎の1剖検例

症例は46歳,男性.抜歯を契機として大動脈弁位に感染性心内膜炎を発症.血液培養にてStreptococcus intermediusが検出された.ガイドラインに準じた抗生物質投与にて感染のコントロールは良好となったが,加療後も径約1cmの疣腫と高度の大動脈弁閉鎖不全が残存したため第30病日に大動脈弁置換予定とした.術前のスクリーニング脳CT血管造影(CT angiography) では明らかな瘤は認めなかった.しかし第28病日にクモ膜下出血を発症した.直後の脳血管造影でも動脈瘤は見つからなかった.明らかな後遺症を得ることなく保存的療法にて軽快した.状態改善後改めて大動脈弁置換予定であったが,第...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 41; no. 9; pp. 1018 - 1023
Main Authors 坂本, 保己, 鈴木, 麻美, 栗原, 顕, 大坂, 友美子, 小野, 裕一, 伊藤, 栄作, 大友, 建一郎, 中村, 知史, 清水, 茂雄, 大西, 健太郎, 白井, 康大, 澤田, 三紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
日本心臓財団
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.1018

Cover

More Information
Summary:症例は46歳,男性.抜歯を契機として大動脈弁位に感染性心内膜炎を発症.血液培養にてStreptococcus intermediusが検出された.ガイドラインに準じた抗生物質投与にて感染のコントロールは良好となったが,加療後も径約1cmの疣腫と高度の大動脈弁閉鎖不全が残存したため第30病日に大動脈弁置換予定とした.術前のスクリーニング脳CT血管造影(CT angiography) では明らかな瘤は認めなかった.しかし第28病日にクモ膜下出血を発症した.直後の脳血管造影でも動脈瘤は見つからなかった.明らかな後遺症を得ることなく保存的療法にて軽快した.状態改善後改めて大動脈弁置換予定であったが,第55病日に突然気分不快から呼吸停止となり,蘇生術に反応せず死亡した.病理解剖では脳底槽へのクモ膜下出血の再発を認めたが,動脈瘤は認められなかった.感染のコントロールが良好であったにもかかわらずクモ膜下出血を繰り返した珍しい1例として,病理学的検討と若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.1018