院外心肺停止から後遺症なく救命し得た左主幹部冠動脈瘤による急性心筋梗塞;医療連携の重要性

症例は36歳女性.小児期に川崎病の罹患歴があり他院で経過観察されていた.宿泊中のホテルで搬送当日早朝に呼吸困難,全身の痺れを主訴に救急要請.救急隊接触後に心肺停止となり,心肺蘇生が開始された.心室細動(ventricular fibrillation;VF)であり,車内での除細動は無効であった.病院到着後,VFを繰り返す状態であったが心肺停止後53分で自己心拍再開を得られ,緊急冠動脈造影を施行.左主幹部に1 cm大の冠動脈瘤を認め,左前下行枝#6入口部が完全閉塞していた.経皮的冠動脈形成術は非適応と診断され,体外式膜型人工肺(V-A extracorporeal membrane oxygen...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 6; pp. 722 - 728
Main Authors 田井, 龍太, 衣笠, 由祐, 川井, 和哉, 杉本, 健太郎, 手嶋, 英樹, 今井, 龍一郎, 井原, 則之, 入江, 博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.54.722

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Summary:症例は36歳女性.小児期に川崎病の罹患歴があり他院で経過観察されていた.宿泊中のホテルで搬送当日早朝に呼吸困難,全身の痺れを主訴に救急要請.救急隊接触後に心肺停止となり,心肺蘇生が開始された.心室細動(ventricular fibrillation;VF)であり,車内での除細動は無効であった.病院到着後,VFを繰り返す状態であったが心肺停止後53分で自己心拍再開を得られ,緊急冠動脈造影を施行.左主幹部に1 cm大の冠動脈瘤を認め,左前下行枝#6入口部が完全閉塞していた.経皮的冠動脈形成術は非適応と診断され,体外式膜型人工肺(V-A extracorporeal membrane oxygenation;V-A ECMO)を確立した後に手術室へ移動し緊急冠動脈バイパス術を実施した.術後は体温管理療法を含めた集中治療を行い,術後2日目に人工呼吸器を離脱し,大動脈内バルーンパンピングを抜去した.経過良好で神経学的後遺症なく術後23日目に自宅退院となった.院外心肺停止症例に対応するためには救急隊を含めたすべての医療者の連携が不可欠であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.722