心外膜下右心室瘤を合併した収縮性心膜炎に対して外科的治療を行った1例

症例は43歳,女性.5歳時に特発性心膜炎に罹患,43歳時に胸痛,呼吸困難症状が出現し当院を受診した.胸部X線写真上心陰影に沿う石灰化があり,CT,MRIでは心外膜の石灰化および右心室瘤を認めた.心臓カテーテル検査にて右室圧波形はdip & plateau patternを示し収縮性心膜炎と診断した.右心室瘤については破裂の可能性は低いと考えられたが,収縮性心膜炎に対して手術適応があると判断し,同時に切除の方針とした.胸骨正中切開を行い,右室前面から心尖部にかけて肥厚・石灰化した心外膜を認めた.人工心肺を装着し,超音波メスを用いて可及的に心膜切除術を施行した.右室前面の脂肪層を剥離し右心...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 50; no. 3; pp. 313 - 318
Main Authors 千歳, 樹子, 大橋, 博和, 門田, 治, 樋口, 卓也, 上仲, 永純, 堤, 泰史, 松本, 遼太, 浅田, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.03.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.50.313

Cover

More Information
Summary:症例は43歳,女性.5歳時に特発性心膜炎に罹患,43歳時に胸痛,呼吸困難症状が出現し当院を受診した.胸部X線写真上心陰影に沿う石灰化があり,CT,MRIでは心外膜の石灰化および右心室瘤を認めた.心臓カテーテル検査にて右室圧波形はdip & plateau patternを示し収縮性心膜炎と診断した.右心室瘤については破裂の可能性は低いと考えられたが,収縮性心膜炎に対して手術適応があると判断し,同時に切除の方針とした.胸骨正中切開を行い,右室前面から心尖部にかけて肥厚・石灰化した心外膜を認めた.人工心肺を装着し,超音波メスを用いて可及的に心膜切除術を施行した.右室前面の脂肪層を剥離し右心室瘤を同定し,心停止後切除した.病理組織検査では心外膜の石灰化・肥厚を認め,右心室瘤の部分は筋層組織が欠損しており,心外膜下右心室瘤と診断した.術後経過は良好であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.313