頭頸部扁平上皮癌における超選択的動注化学療法併用放射線療法の治療成績

頭頸部扁平上皮癌に対しシスプラチン(50mg/週)を3~4週用いた超選択的動注療法と放射線同時併用療法(総線量40~60Gy)(RADPLAT)を施行した31症例(stage II;5,III;7,IV;19)について治療成績の検討を行った。患者の年齢は40~82歳,平均65.9歳であった。動注はSeldinger法で週1回行った。一次治療効果は原発巣では奏効率100%,CR率71%,レべル IおよびII頸部転移巣ではCR率57.1%であった。全生存率は76.0%であった。原因特異的生存率は92.6%であった。部位別の生存率は舌,口底,上顎歯肉,下顎歯肉でそれぞれ79.5%,83.3%,60....

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 23; no. 4; pp. 129 - 138
Main Authors 奥井, 森, 浦出, 雅裕, 高岡, 一樹, 森寺, 邦康, 野口, 一馬, 冨士原, 将之, 山本, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 2011
日本口腔腫瘍学会
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.23.129

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Summary:頭頸部扁平上皮癌に対しシスプラチン(50mg/週)を3~4週用いた超選択的動注療法と放射線同時併用療法(総線量40~60Gy)(RADPLAT)を施行した31症例(stage II;5,III;7,IV;19)について治療成績の検討を行った。患者の年齢は40~82歳,平均65.9歳であった。動注はSeldinger法で週1回行った。一次治療効果は原発巣では奏効率100%,CR率71%,レべル IおよびII頸部転移巣ではCR率57.1%であった。全生存率は76.0%であった。原因特異的生存率は92.6%であった。部位別の生存率は舌,口底,上顎歯肉,下顎歯肉でそれぞれ79.5%,83.3%,60.0%,66.7%であった。病理組織学的検討を行った18例のうち10例において大星・下里分類のgrade 3以上の組織学的効果を認めた。そのうちの9例が舌癌と口底癌であった。有害事象についてはgrade 3の口腔粘膜炎3例,grade 3以上の白血球減少症17例が認められたが全ての症例で治療を完遂できた。以上からRADPLATは頭頸部扁平上皮癌に対する優れた治療法であり舌癌および口底癌とレベル I,IIの頸部リンパ節転移に対する治療法としては臓器温存に有用であることが示唆された。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.23.129