問診による浴槽浴事故の調査研究─従来調査法との比較
背景・目的:医師による入浴事故の聞き取り調査結果を従来の報告と比較して,その信憑性を検討した. 方法:1,772人に入浴事故の聞き取り調査を行った. 結果:1)死亡463件,重症41件,中等症112件,軽症22件,最軽症30件,合計668件の入浴事故があった.発生頻度に男女差はなかった.70歳以上の死亡は336件で,死亡の72.6%を占めた.入浴施設別では死亡の90.9%が家庭であった. 2)最軽症例を除く入浴事故638件の事故発生場所は浴槽内462件,浴槽外134件,場所不明42件であった.重症度別で浴槽内が占める割合は死亡92.0%,重症49%,中等症41.1%,軽症36%であった.入浴死...
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Published in | 心臓 Vol. 54; no. 7; pp. 777 - 784 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.07.2022
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.54.777 |
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Summary: | 背景・目的:医師による入浴事故の聞き取り調査結果を従来の報告と比較して,その信憑性を検討した. 方法:1,772人に入浴事故の聞き取り調査を行った. 結果:1)死亡463件,重症41件,中等症112件,軽症22件,最軽症30件,合計668件の入浴事故があった.発生頻度に男女差はなかった.70歳以上の死亡は336件で,死亡の72.6%を占めた.入浴施設別では死亡の90.9%が家庭であった. 2)最軽症例を除く入浴事故638件の事故発生場所は浴槽内462件,浴槽外134件,場所不明42件であった.重症度別で浴槽内が占める割合は死亡92.0%,重症49%,中等症41.1%,軽症36%であった.入浴死の約9割は浴槽内で発生していた. 3)軽症・中等症・重症の175件中に脳卒中は23件(13.1%)あった.一般的な脳血管障害の種類頻度に比べて脳梗塞は少なく,頭蓋内出血が多かった. 4)入浴死件数の年齢分布,男女の比率,家庭と共同浴場の比率,浴槽内と浴槽外の比率,非死亡例における脳卒中の占める比率などは従来の報告と同様な結果であった. 結論:医師の聞き取りによる入浴事故調査は,入浴事故研究に極めて有用な手法と考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.777 |