肝硬変を伴った透析患者の感染性心内膜炎に対する外科治療の1例
心臓手術において透析患者は,手術成績や遠隔成績が非透析患者に比べて不良である.また,肝硬変を合併した患者も,手術成績や遠隔成績が不良である.どちらの疾患も心臓手術における周術期死亡率や合併症の発生率が非常に高いためであり,術式の詳細な検討と合併症予防の十分な対策が必要である. 症例は,67歳男性,中等度肝硬変(Child-Pugh分類Grade B,MELD score 20)を合併した透析患者で,心臓手術におけるハイリスク症例であった(STS score:mortality 7.6%).MRSAによる感染性心内膜炎を発症し,大動脈弁弁膜瘤の破裂から急性大動脈弁閉鎖不全症を続発して,急性心不全...
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Published in | 心臓 Vol. 54; no. 5; pp. 620 - 624 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.05.2022
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.54.620 |
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Summary: | 心臓手術において透析患者は,手術成績や遠隔成績が非透析患者に比べて不良である.また,肝硬変を合併した患者も,手術成績や遠隔成績が不良である.どちらの疾患も心臓手術における周術期死亡率や合併症の発生率が非常に高いためであり,術式の詳細な検討と合併症予防の十分な対策が必要である. 症例は,67歳男性,中等度肝硬変(Child-Pugh分類Grade B,MELD score 20)を合併した透析患者で,心臓手術におけるハイリスク症例であった(STS score:mortality 7.6%).MRSAによる感染性心内膜炎を発症し,大動脈弁弁膜瘤の破裂から急性大動脈弁閉鎖不全症を続発して,急性心不全に陥ったため,大動脈弁置換術を行った.周術期の出血性合併症予防のため,体外循環中の抗凝固療法を低用量ヘパリン+ナファモスタットメシル酸塩持続投与法で行ったほか,血小板数を5-6万/uL以上に保った周術期管理を行った.本症例はハイリスク症例であったが,出血性合併症予防に重点を置いた周術期管理を行うことで,致死的合併症を回避することができたので,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.620 |