飲食直後の呼気一酸化窒素濃度測定検査における測定結果への影響についての検討

呼気一酸化窒素濃度(fractional exhaled nitric oxide; FeNO)は,下気道の好酸球性炎症マーカーとして,喘息患者での上昇が認められている。検査方法は簡便かつ非侵襲的である一方,FeNO値は硝酸塩やカフェイン含有物の摂取により測定結果に影響を及ぼすと報告されているが,摂取直後に関する報告は少ない。今回,我々は報告のある硝酸塩やカフェイン含有物摂取後の経時的変化,及び摂取する水の温度におけるFeNO値の変化について検討を行った。硝酸塩を含む食事摂取の検討では,摂取後5分は摂取前より有意に低下かつ最小値となった。摂取後30分は摂取前と有意差を認めなかった。摂取後1時間...

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Published in医学検査 Vol. 68; no. 2; pp. 226 - 230
Main Authors 西村, はるか, 山本, 麻瑚, 西尾, 美帆, 中島, 佳那子, 長島, 光治, 豊﨑, 光代, 畑地, 治, 宇城, 研悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.04.2019
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.18-42

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Summary:呼気一酸化窒素濃度(fractional exhaled nitric oxide; FeNO)は,下気道の好酸球性炎症マーカーとして,喘息患者での上昇が認められている。検査方法は簡便かつ非侵襲的である一方,FeNO値は硝酸塩やカフェイン含有物の摂取により測定結果に影響を及ぼすと報告されているが,摂取直後に関する報告は少ない。今回,我々は報告のある硝酸塩やカフェイン含有物摂取後の経時的変化,及び摂取する水の温度におけるFeNO値の変化について検討を行った。硝酸塩を含む食事摂取の検討では,摂取後5分は摂取前より有意に低下かつ最小値となった。摂取後30分は摂取前と有意差を認めなかった。摂取後1時間は摂取前より有意に上昇かつ最大値となり,摂取後2時間でも依然として高値を示し,摂取前の値まで戻らなかった。水の温度の検討では,4℃水摂取後5分,15分は共に摂取前より有意に低下した。一方,37℃水摂取後5分,15分は共に摂取前と有意差は認めなかった。硝酸塩及びカフェイン含有飲料摂取の検討は,いずれも摂取後5分は摂取前より有意に低下し,摂取後30分では有意差を認めなかった。今回の検討結果より,FeNO測定検査は飲食直後の検査を避けるべきであり,更には飲食物の温度による影響を受けることが示唆された。FeNO測定条件には様々な因子が複雑に関係していることが考えられ,今後も更なる検討が必要である。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-42