柿蒂の薬能及び薬用部位に関する史的深化

「緒論」生薬「柿蒂」は1978年の日本薬局方外生薬規格集(以下:局外生規)に初収載されて以降, 2015年に至るまで「柿蒂(シテイ)」の名称で収載されている. 基原は一貫して「カキノキDiospyros kaki Thunberg(Ebenaceae)の成熟した果実の宿存したがく」と規定される. 中国の医薬品公定書である中華人民共和国葯典においてもその基原は同様で, 煎液の効能および主治は「降逆止気」「用干厄逆」と記載されている. 「厄逆」即ち「吃逆:しゃっくり」軽減に用いられるが, 有効成分や作用機序の報告は乏しい. カキノキは元来中国揚子江流域の野生種が朝鮮半島を経由して奈良時代に日本へ渡...

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Published in薬史学雑誌 Vol. 53; no. 1; pp. 43 - 49
Main Authors 髙橋, 京子, 楠木, 歩美, 髙浦(島田), 佳代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本薬史学会 2018
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ISSN0285-2314
2435-7529
DOI10.34531/jjhp.53.1_43

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Summary:「緒論」生薬「柿蒂」は1978年の日本薬局方外生薬規格集(以下:局外生規)に初収載されて以降, 2015年に至るまで「柿蒂(シテイ)」の名称で収載されている. 基原は一貫して「カキノキDiospyros kaki Thunberg(Ebenaceae)の成熟した果実の宿存したがく」と規定される. 中国の医薬品公定書である中華人民共和国葯典においてもその基原は同様で, 煎液の効能および主治は「降逆止気」「用干厄逆」と記載されている. 「厄逆」即ち「吃逆:しゃっくり」軽減に用いられるが, 有効成分や作用機序の報告は乏しい. カキノキは元来中国揚子江流域の野生種が朝鮮半島を経由して奈良時代に日本へ渡来したとする説が有力である. 一方, この果樹の栽培や品種改良は日本で著しく発達し, 学名「D. kaki」が示すように, 日本各地方に特有の品種が作出され, それら品種数は1,000を超える. また, 甘柿は中国にはなく, 鎌倉時代に日本に出現したとされる.
ISSN:0285-2314
2435-7529
DOI:10.34531/jjhp.53.1_43