急性下肢虚血を呈した膝窩動脈瘤に血行再建を行い救肢に成功した1例

76歳男性.10年来の透析患者で,透析後の左下肢の安静時疼痛で紹介受診.CTで両側膝窩に壁在血栓を伴う動脈瘤を認め,精査加療目的に入院.下肢血管造影で内転筋管遠位より膝関節面まで拡張・蛇行した膝窩動脈瘤を認めた.遠位膝窩動脈,脛骨腓骨動脈幹に狭窄はないが,前脛骨動脈は近位で閉塞していた.造影翌日の透析後に安静時疼痛が再燃し,その21時間後に動脈拍動の消失・知覚消失を確認し急性下肢虚血と判断した.静脈のドプラシグナルを聴取可能で,TASC IIb度の急性下肢虚血と評価し緊急手術を施行.大伏在静脈を用いた膝上膝窩動脈─膝下膝窩動脈バイパスおよび後脛骨動脈の血栓除去を行った.術後脛骨神経麻痺の遷延の...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 6; pp. 600 - 605
Main Authors 熊田, 佳孝, 中村, 康人, 水野, 裕介, 増田, 暁夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.600

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Summary:76歳男性.10年来の透析患者で,透析後の左下肢の安静時疼痛で紹介受診.CTで両側膝窩に壁在血栓を伴う動脈瘤を認め,精査加療目的に入院.下肢血管造影で内転筋管遠位より膝関節面まで拡張・蛇行した膝窩動脈瘤を認めた.遠位膝窩動脈,脛骨腓骨動脈幹に狭窄はないが,前脛骨動脈は近位で閉塞していた.造影翌日の透析後に安静時疼痛が再燃し,その21時間後に動脈拍動の消失・知覚消失を確認し急性下肢虚血と判断した.静脈のドプラシグナルを聴取可能で,TASC IIb度の急性下肢虚血と評価し緊急手術を施行.大伏在静脈を用いた膝上膝窩動脈─膝下膝窩動脈バイパスおよび後脛骨動脈の血栓除去を行った.術後脛骨神経麻痺の遷延のため長期リハビリを要したが独歩退院可能であった.TASC IIbの急性下肢虚血を呈した膝窩動脈瘤患者の救肢に成功した症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.600