3.九州大学病院ハートセンターにおける補助人工心臓の現状と課題

「要旨」本センターにおけるVAD治療の現状と課題を報告する. 九州大学病院ハートセンターにおいて, 重症心不全52症例に対し56回の補助人工心臓(VAD)を装着した. 男性42例, 女性10例で, 年齢は9歳から67歳, 体重は24.0~100kg, BSAは0.99~2.15m2であった. 原心疾患は拡張型心筋症29例, 虚血性心筋症8例, 拡張相肥大型心筋症3例, 心サルコイドーシス3例, その他9例. 左心補助が54例, 両心補助が2例であった. 空気駆動式体外設置型のニプロ(東洋紡)VAD 25例, 旧型植込型の Novacor 2例, 短期補助用体外設置型の BVS5000 8例,...

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Published inCIRCULATION CONTROL Vol. 36; no. 1; pp. 6 - 10
Main Authors 富永, 隆治, 砂川, 賢二, 肥後, 太基, 田ノ上, 禎久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2015
Japan Society of Circulation Control in Medicine
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.36.6

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Summary:「要旨」本センターにおけるVAD治療の現状と課題を報告する. 九州大学病院ハートセンターにおいて, 重症心不全52症例に対し56回の補助人工心臓(VAD)を装着した. 男性42例, 女性10例で, 年齢は9歳から67歳, 体重は24.0~100kg, BSAは0.99~2.15m2であった. 原心疾患は拡張型心筋症29例, 虚血性心筋症8例, 拡張相肥大型心筋症3例, 心サルコイドーシス3例, その他9例. 左心補助が54例, 両心補助が2例であった. 空気駆動式体外設置型のニプロ(東洋紡)VAD 25例, 旧型植込型の Novacor 2例, 短期補助用体外設置型の BVS5000 8例, そして, 2011年春より順次保険償還された植込型左心補助人工心臓(LVAD)は21例を経験した. その内訳は DuraHeart 3例, EVAHEART 10例, HeartMateII 5例, Jarvik2000 2例, HVAD 1例であった. 11例が心臓移植を終了し(渡航移植1例), 4例が離脱, 15例が移植待機中で(全例, 新型植込型LVAD), 1例が Destination Therapy, 21例が死亡した. 新型植込型LVAD装着後, 死亡例はないが, 6例に脳合併症を併発した. 新型植込型LVADは在宅医療を可能にするVADであるが, 介助者の問題からくる職場の受け入れ困難, 自動車の運転ができないための行動範囲の制限等の数々の問題が解決しておらず就労率は低い. 3~5年以上の心臓移植待機期間に伴う在宅医療の長期化から, 患者, 介助者の自己管理が緩慢になる例を認め, 再教育, 精神的ケアが必要となっている. 本センターでの移植を希望し, 九州の他施設で植込型LVADを装着された患者は6症例となった. 九州内の植込型補助人工心臓実施施設増加に伴い, 地域連携の強化が重要となっている. これらの様々な問題に対応すべく, 多職種メンバーからなるVADチームを設立し, VAD装着患者, 装着予定患者の情報交換と共有とスタッフ間の連携を深めている. また, 患者, 介助者の情報交換の場として「VAD患者さんの集い」を企画している.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.36.6