ワルファリン治療中に本態性血小板血症を併発し,ヘパリン起因性血小板減少症を疑う臨床経過から診断・治療に難渋した再発性静脈血栓塞栓症の1例
症例は74歳女性.13年前に静脈血栓塞栓症(VTE)を発症し,以後ワルファリン治療を継続していた.4年前に本態性血小板血症(ET)と診断され,ヒドロキシカルバミド内服を開始した.2週間前から左下腿に圧痛を伴う紫斑・腫脹を認め,VTE再発と診断し,ヘパリン持続静注を開始した.その後下大静脈フィルター周囲や大腿静脈の血栓は増悪し,血小板数が60→90×104/μLに増加しておりETの関与を考えアピキサバン20 mg/日+アスピリン100 mg/日に変更した.また明確な血小板減少はないが,急速な血栓増悪からヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の関与を疑いヘパリンを中止し,その後上記薬物治療で血栓は消...
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| Published in | 心臓 Vol. 52; no. 7; pp. 745 - 751 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.07.2020
日本心臓財団・日本循環器学会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI | 10.11281/shinzo.52.745 |
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| Summary: | 症例は74歳女性.13年前に静脈血栓塞栓症(VTE)を発症し,以後ワルファリン治療を継続していた.4年前に本態性血小板血症(ET)と診断され,ヒドロキシカルバミド内服を開始した.2週間前から左下腿に圧痛を伴う紫斑・腫脹を認め,VTE再発と診断し,ヘパリン持続静注を開始した.その後下大静脈フィルター周囲や大腿静脈の血栓は増悪し,血小板数が60→90×104/μLに増加しておりETの関与を考えアピキサバン20 mg/日+アスピリン100 mg/日に変更した.また明確な血小板減少はないが,急速な血栓増悪からヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の関与を疑いヘパリンを中止し,その後上記薬物治療で血栓は消失した.本症例はVTE再発へのET関与と抗血小板療法併用を含む適切な抗血栓療法について示唆に富む症例と考えられた.また経過中に病態への関与が問題となったHIT発症に対するETの関与についても,文献的考察を交えて報告する. |
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| ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI: | 10.11281/shinzo.52.745 |