新型コロナ感染症の早期検出に抗SARS-CoV-2 spike protein S1 domain-IgA抗体が寄与する可能性

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の補助診断法として血清学的診断法が期待されている。抗SARS-CoV-2抗体試薬は,SARS-CoV-2のspike protein S1 domain(S)とnucleocapsid protein(N)に対する抗体を検出する2種類に大別される。今回我々は,COVID-19と診断された症例の経時的試料を用いて,SとN抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬の検証を行った。S抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬は,EUROIMMUN S-IgA,IgG試薬とVITROS S-total,IgG試薬を使用した。N抗原を用...

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Published in医学検査 Vol. 69; no. 4; pp. 546 - 553
Main Authors 松下, 正, 鈴木, 敦夫, 横山, 覚, 齋藤, 尚二, 金, 貞姫, 菊地, 良介, 度會, 理佳, 八木, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2020
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.20-70

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Summary:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の補助診断法として血清学的診断法が期待されている。抗SARS-CoV-2抗体試薬は,SARS-CoV-2のspike protein S1 domain(S)とnucleocapsid protein(N)に対する抗体を検出する2種類に大別される。今回我々は,COVID-19と診断された症例の経時的試料を用いて,SとN抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬の検証を行った。S抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬は,EUROIMMUN S-IgA,IgG試薬とVITROS S-total,IgG試薬を使用した。N抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬は,ARCHITECT N-試薬とcobas N-試薬を使用した。その結果,来院時点(第X病日)からEUROIMMUN S-IgA試薬によるIgA抗体は陽性であった。第X + 5病日よりVITROS S-total試薬による抗SARS-CoV-2抗体は陽性となり,第X + 8病日よりARCHITECT N-試薬によるIgG抗体は陽性であった。本症例において,S抗原を用いた抗SARS-CoV-2抗体試薬は早期より抗SARS-CoV-2抗体が陽転化した。特に,抗SARS-CoV-2 S-IgA抗体はCOVID-19の早期補助診断に有用な可能性が示唆された。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.20-70