『緒方洪庵の薬箱』収載生薬の統計学的解析:数値化に基づく緒方洪庵の治療観の考察

「1. 緒言」緒方洪庵(:洪庵, 1810~1863年, 名:章, 字:公裁, 号:適々斎または華陰)は幕末期に活躍した蘭学者であり, 医者である. 洪庵が壮年期に往診に用いたとされる大型の携帯用薬箱が遺されており, 洪庵から4代目の緒方裁吉氏の手元で保管されていたが, 現在は大阪大学の所蔵となっている. 特に, 薬箱3段目から5段目に納められていた生薬類については, その大半が薬袋に満たされた状態で発見され, 洪庵の治療観や当時の生薬流通状況を伝える重要な資料となっている. 内容物等については, 過去に米田らにより調査が行われているが, 公開された情報は内容物等に関するごく一部に限られ, そ...

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Published in薬史学雑誌 Vol. 53; no. 1; pp. 50 - 55
Main Authors 髙橋, 京子, 髙浦(島田), 佳代子, 川瀬, 雅也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本薬史学会 2018
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ISSN0285-2314
2435-7529
DOI10.34531/jjhp.53.1_50

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Summary:「1. 緒言」緒方洪庵(:洪庵, 1810~1863年, 名:章, 字:公裁, 号:適々斎または華陰)は幕末期に活躍した蘭学者であり, 医者である. 洪庵が壮年期に往診に用いたとされる大型の携帯用薬箱が遺されており, 洪庵から4代目の緒方裁吉氏の手元で保管されていたが, 現在は大阪大学の所蔵となっている. 特に, 薬箱3段目から5段目に納められていた生薬類については, その大半が薬袋に満たされた状態で発見され, 洪庵の治療観や当時の生薬流通状況を伝える重要な資料となっている. 内容物等については, 過去に米田らにより調査が行われているが, 公開された情報は内容物等に関するごく一部に限られ, その他の詳細は不明である. そこで, 我々は新たに2011年から2013年にかけてこの薬箱を調査し, 薬箱本体および中に納められていた薬袋とその内容物について, 写真撮影によるデジタル化を行うと共に, 重量, 寸法, デジタルマイクロスコープによる詳細画像など現状に関する膨大なデータ収集および解析を行った.
ISSN:0285-2314
2435-7529
DOI:10.34531/jjhp.53.1_50