右室流出路原発悪性線維性組織球腫の1例

70歳, 男性. 高血圧のため近医通院中であった. 呼吸困難および下腿に高度な浮腫を認め胸骨左縁第2肋間にLevine III/VIの収縮期雑音を聴取された. 心エコー検査で右心系拡大と右室流出路中隔側に内部不均一で低エコーな23×33mmの腫瘍を認めた. 可動性はなく, 表面は比較的スムーズで流出路狭窄を認めた. 肺塞栓を含めた明らかな転移は認めなかった. 外科的に腫瘍切除術施行し, 病理検査で悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma ; MFH) と診断した. 術後4カ月目には術前以上の大きさに再発を認め, 心不全の増悪による全身状態悪化のため化学...

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Published in心臓 Vol. 45; no. 4; pp. 433 - 438
Main Authors 浜田, 正行, 森, 拓也, 北村, 哲也, 岩崎, 仁史, 渡邉, 雄介, 山里, 将一朗, 伊藤, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2013
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.45.433

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Summary:70歳, 男性. 高血圧のため近医通院中であった. 呼吸困難および下腿に高度な浮腫を認め胸骨左縁第2肋間にLevine III/VIの収縮期雑音を聴取された. 心エコー検査で右心系拡大と右室流出路中隔側に内部不均一で低エコーな23×33mmの腫瘍を認めた. 可動性はなく, 表面は比較的スムーズで流出路狭窄を認めた. 肺塞栓を含めた明らかな転移は認めなかった. 外科的に腫瘍切除術施行し, 病理検査で悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma ; MFH) と診断した. 術後4カ月目には術前以上の大きさに再発を認め, 心不全の増悪による全身状態悪化のため化学療法も施行困難であり, 徐々に全身状態は悪化し, 術後8カ月で死亡した.  心臓原発MFHの好発部位は左房 (特に後壁側) であり, 本症例のように右心系に発生するものは極めて稀であるといえる. 治療としては, 腫瘍切除可能例では積極的な外科的切除が推奨されている. しかし, 再発率, 遠隔転移発生率は高く, 心臓原発MFHの予後は極めて不良であるといえる.  今回, われわれは肉眼的には完全に切除したものの術後4カ月で再発し右房・右室・肺動脈へ浸潤・進展, 肺に多発転移を認めたMFHの1例を経験した. 極めて稀な疾患であり報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.433