1.血行動態から考えるデバイス治療の適応と その効果の評価

デバイス治療は循環器領域の臨床では必須であることは言を俟たない. しかしながら, その開発から実用化, さらに臨床現場に受け入れられるための社会実装には, 薬物治療よりも時間がかかるとされてきた. 近年の病態生理の理解の深化や画像診断等の非侵襲診断の飛躍的な進歩に伴い, 新規デバイス治療の社会実装が一気に加速してきた. それぞれのデバイス治療は適応病態が異なるため, 原理や効果, さらに評価については個別の議論が必要である. ただ, 実際にはこれらのデバイス治療は血行動態に介入することから, 血行動態を深く理解することが, これらのデバイス治療の適応決定や最適化に不可欠になってくる. そこで本...

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Bibliographic Details
Published inCIRCULATION CONTROL Vol. 42; no. 1; p. 2
Main Author 砂川, 賢二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2021
Japan Society of Circulation Control in Medicine
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.42.2

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Summary:デバイス治療は循環器領域の臨床では必須であることは言を俟たない. しかしながら, その開発から実用化, さらに臨床現場に受け入れられるための社会実装には, 薬物治療よりも時間がかかるとされてきた. 近年の病態生理の理解の深化や画像診断等の非侵襲診断の飛躍的な進歩に伴い, 新規デバイス治療の社会実装が一気に加速してきた. それぞれのデバイス治療は適応病態が異なるため, 原理や効果, さらに評価については個別の議論が必要である. ただ, 実際にはこれらのデバイス治療は血行動態に介入することから, 血行動態を深く理解することが, これらのデバイス治療の適応決定や最適化に不可欠になってくる. そこで本シンポジウムは最近の循環器デバイス治療に携わる国内の第一人者にお集まり頂き, デバイス治療の現況, 効果, さらに評価法について議論を深めたい. 小倉記念病院の白井伸一先生には高齢化にともない激増してきている大動脈弁疾患のカテーテル治療, TAVIについて術後の血行動態の変化と長期予後について紹介頂く. 慶応義塾大学の金澤英明先生には先天性心疾患のカテーテル治療と血行動態についてお話を頂く. 九州大学の坂本隆史先生には僧帽弁閉鎖不全症に劇的な効果のあるカテーテル治療, MitraClipについて最新の知見の報告をお願いしている. 国立循環器病研究センターの月永晶人先生には重症心不全のLVAD治療の効果およびその評価についてお話をして頂く. 済生会熊本病院の鵜木崇先生には近年国内でも飛躍的に使用頻度が増えてきているImpellaを用いた新しい心原性ショックの治療戦略である左室除負荷治療について現況を紹介して頂く. 現況のデバイス治療の血行動態を深く理解することこそが, 個々の治療戦略の特徴を最大限に引き出し, さらに新たな次世代デバイス治療に繋がることを信じて疑わない.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.42.2