Drug Coated Balloonによる労作性狭心症治療後に運動誘発性冠攣縮性狭心症を発症した1例

症例は59歳,男性.労作時胸痛を認めるため近医を受診.心電図にて下壁・前壁誘導でT波の陰転化があり当院へ救急搬送.冠動脈造影(CAG)を施行したところ,第1対角枝(D1)に90%の狭窄を認めたが,ステント留置には不適切病変であったためDrug Coated Balloon(DCB)にてバルーン拡張のみとした.その後は心電図および労作時の症状も改善していた.しかし5カ月後に労作時の胸痛が再燃.心電図には変化がなく労作性狭心症の再発と診断.運動負荷心筋シンチグラムを施行したところ,胸痛とともに心電図で前壁のST上昇および下壁・側壁でのST低下を認めたため運動負荷を中止.休息後,数分で症状および心電...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 1; pp. 49 - 54
Main Authors 浦澤, 延幸, 戸塚, 信之, 金井, 将史, 臼井, 達也, 吉岡, 二郎, 中澤, 峻, 宮下, 裕介, 小松, 稔典, 清水, 邦彦, 宮澤, 泉, 阿部, 直之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.01.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.49

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Summary:症例は59歳,男性.労作時胸痛を認めるため近医を受診.心電図にて下壁・前壁誘導でT波の陰転化があり当院へ救急搬送.冠動脈造影(CAG)を施行したところ,第1対角枝(D1)に90%の狭窄を認めたが,ステント留置には不適切病変であったためDrug Coated Balloon(DCB)にてバルーン拡張のみとした.その後は心電図および労作時の症状も改善していた.しかし5カ月後に労作時の胸痛が再燃.心電図には変化がなく労作性狭心症の再発と診断.運動負荷心筋シンチグラムを施行したところ,胸痛とともに心電図で前壁のST上昇および下壁・側壁でのST低下を認めたため運動負荷を中止.休息後,数分で症状および心電図は改善したため撮影は継続.左前下行枝領域に運動時の広範な集積低下および安静時の再分布を認めた.労作性狭心症を疑いCAGを施行したが有意狭窄は認めなかった.しかしエルゴノビン負荷にて左冠動脈の広範な冠攣縮を認め運動誘発性冠攣縮性狭心症と診断した.DCBによる治療後に運動誘発性冠攣縮性狭心症を発症した症例報告はなく,貴重な症例と考え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.49