重症肺高血圧,急性腎障害,心室細動を生じた衝心脚気の1例

症例は52歳男性.緊急入院の2週間前より両下肢の浮腫を自覚.その後,前医受診しフロセミド20 mgを処方された.3日前より呼吸困難感が出現し,徐々に歩行困難となり救急搬送となった.SpO2 86%(10 L酸素投与下)で全身圧痕性浮腫を認めた.心エコーから急性肺塞栓を疑い重症右心不全に対してNPPV管理,利尿薬投与・ヘパリン持続注を開始したが急性腎障害が急激に悪化し第3病日から血液透析を開始した.第6病日のCTでは肺塞栓からの病態悪化は否定的であった.第11病日に下壁誘導でのST上昇後一過性心室細動あり,ヘパリン起因性血小板減少症を疑い冠動脈造影を行ったが冠動脈塞栓はみられなかった.意識状態は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 56; no. 1; pp. 45 - 54
Main Authors 塚本, 文彦, 宮脇, 洋, 屋代, 祥典, 中田, 茂和, 山口, 竜平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.01.2024
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.56.45

Cover

More Information
Summary:症例は52歳男性.緊急入院の2週間前より両下肢の浮腫を自覚.その後,前医受診しフロセミド20 mgを処方された.3日前より呼吸困難感が出現し,徐々に歩行困難となり救急搬送となった.SpO2 86%(10 L酸素投与下)で全身圧痕性浮腫を認めた.心エコーから急性肺塞栓を疑い重症右心不全に対してNPPV管理,利尿薬投与・ヘパリン持続注を開始したが急性腎障害が急激に悪化し第3病日から血液透析を開始した.第6病日のCTでは肺塞栓からの病態悪化は否定的であった.第11病日に下壁誘導でのST上昇後一過性心室細動あり,ヘパリン起因性血小板減少症を疑い冠動脈造影を行ったが冠動脈塞栓はみられなかった.意識状態は改善し病歴聴取が可能となったが,最近白米摂取のみであった生活歴が明らかとなり,第11-13病日にフルスルチアミン(ビタミンB1)点滴静注した.第19病日まで血液透析含む集中治療を継続したところ,第24病日に利尿期となり,その後病状は改善した.重篤な経過をたどった衝心脚気として貴重な症例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.56.45