吸入剤と関連試験法

「1. はじめに」薬物を気中に分散した固体または液体の粒子(エアゾール)として, 吸入気流に乗せて気管支および肺に直接かつ非侵襲的に送達する「吸入剤」は, 喘息ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)の標準治療製剤として, その有効性が世界で広く認知されている. 吸入剤の歴史は古く, 今から約4000年前のアーユルヴェーダ医学の中で, 抗コリン成分の喫煙による喘息治療が実施されていた. 19世紀初めに吸入液剤に用いるネブライザ, 20世紀半ばに吸入エアゾール剤と吸入粉末剤がそれぞれ誕生したが, 現在のように喘息治療で吸入ステロイドが普及したのは20世紀末である. 日本薬局方において, 吸入剤として...

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Published in薬剤学 Vol. 82; no. 4; pp. 188 - 194
Main Authors 岡本, 浩一, 奥田, 知将, 平, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬剤学会 2022
日本薬剤学会
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ISSN0372-7629
2188-3149
DOI10.14843/jpstj.82.188

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Summary:「1. はじめに」薬物を気中に分散した固体または液体の粒子(エアゾール)として, 吸入気流に乗せて気管支および肺に直接かつ非侵襲的に送達する「吸入剤」は, 喘息ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)の標準治療製剤として, その有効性が世界で広く認知されている. 吸入剤の歴史は古く, 今から約4000年前のアーユルヴェーダ医学の中で, 抗コリン成分の喫煙による喘息治療が実施されていた. 19世紀初めに吸入液剤に用いるネブライザ, 20世紀半ばに吸入エアゾール剤と吸入粉末剤がそれぞれ誕生したが, 現在のように喘息治療で吸入ステロイドが普及したのは20世紀末である. 日本薬局方において, 吸入剤として製剤総則で分類されたのは2011年の第十六改正であり, 関連試験法が収載されたのは2017年の第十七改正追補と比較的最近のことである. 本稿では, 現在の第十八改正日本薬局方の内容を中心に, 吸入剤と関連試験法について解説していく.
ISSN:0372-7629
2188-3149
DOI:10.14843/jpstj.82.188