核酸医薬の中枢組織へのデリバリー

「1. はじめに」Antisense oligonucleotide(ASO)やshort interference RNA(siRNA)に代表される核酸医薬は主に遺伝子疾患治療に対する有効な治療モダリティとして発展してきた. 現在ではデュシェンヌ型筋ジストロフィーや遺伝性ATTRアミロイドーシスなどに対する治療薬が承認され, 治療に用いられている. 中枢神経系領域は, 遺伝的要因が関与している疾患も多く, 核酸医薬による治療効果が期待される疾患領域である. 表1に2024年2月時点での中枢疾患に対する承認薬及び主な開発品を示した. 核酸医薬が望まれている疾患領域でありながら, これまで承認さ...

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Published in薬剤学 Vol. 84; no. 3; pp. 151 - 155
Main Author 後藤, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬剤学会 2024
日本薬剤学会
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ISSN0372-7629
2188-3149
DOI10.14843/jpstj.84.151

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Summary:「1. はじめに」Antisense oligonucleotide(ASO)やshort interference RNA(siRNA)に代表される核酸医薬は主に遺伝子疾患治療に対する有効な治療モダリティとして発展してきた. 現在ではデュシェンヌ型筋ジストロフィーや遺伝性ATTRアミロイドーシスなどに対する治療薬が承認され, 治療に用いられている. 中枢神経系領域は, 遺伝的要因が関与している疾患も多く, 核酸医薬による治療効果が期待される疾患領域である. 表1に2024年2月時点での中枢疾患に対する承認薬及び主な開発品を示した. 核酸医薬が望まれている疾患領域でありながら, これまで承認されている中枢疾患に対する核酸医薬は脊髄性筋萎縮症に対するnusinersenと筋萎縮性側索硬化症に対するtofersenのみであり, 未だアンメットメディカルニーズが高い. 核酸医薬は血液脳関門(blood brain barrier, BBB)により全身循環から脳実質への薬物の移行が制限される.
ISSN:0372-7629
2188-3149
DOI:10.14843/jpstj.84.151